章末資料

 発 魔王国 外務院

 宛 在魔王国 ヒト国大使


『貴国籍と思われる武装集団が我が国の領域を警告なく侵犯し、わが国民を殺傷せり。これは如何なる意図にてなされたるものなりや。』


 発 在魔王国 ヒト国大使

 宛 魔王国 外務院


『ヒト国は斯様な武装集団を認知せず。一切の関与を否定する。殺傷の憂き目に遭われた貴国民に御悔やみ申し上げる。』


 魔王国軍監部よりの報告(抜粋)

『去る四月四日、我が国南端の村ヴァジマーリにおいて、村民の粘体族スライム十二名が殺害されたる。哨戒中の軍部隊によれば、四名のヒトを目撃せり。』


 魔王国外務院よりの報告(抜粋)

『──ヒト国は本件への一切の関与を否定。我が国との緊張は全く望まないものであるとの声明を発表。』


 軍務通達

『発 軍監部人事局

 宛 国軍中尉 準騎士爵 ヤーゼフ・シルヴィウス


 昇級辞令 

 魔王国軍騎竜兵中尉 ヤーゼフ・シルヴィウス殿


 魔王陛下よりお預りしたる権限をもって、軍監部人事局長は貴官に以下のごとく命令する。

 公歴一八四六年四月九日をもって、貴官を

 「国軍騎竜兵大尉」(奏任官四等)

 に任ずる。

 魔王国軍監部は貴官に士官としてさらなる挺身を期待する。


 軍監部人事局長 准将 子爵 ノウリア・フォン・オクラウス(印)』


 軍務通達

『発 軍監部人事局

 宛 国軍大尉 準騎士爵 ヤーゼフ・シルヴィウス


 転属辞令 

 魔王国軍騎竜兵大尉 ヤーゼフ・シルヴィウス殿


 魔王陛下よりお預りしたる権限をもって、軍監部人事局長は貴官に以下のごとく命令する。

 公歴一八四六年四月十日をもって、貴官の

 「第一騎竜兵中隊 本部附兵站管理官」

 の任を解く。

これにかわり、同日付で貴官を

 「王都近衛騎士団隷下れいか第二騎竜兵大隊兵站幕僚ばくりょう

 に任ずる。クセルクセス軍療院長より退院命令受領後、貴官は可及的速やかに着任準備を整え、これを遂行すべし。


 軍監部人事局長 准将 子爵 ノウリア・フォン・オクラウス(印)』


 魔王国軍士官拝命宣誓


 私は、魔王陛下の忠節なる兵士をお預かりし、その指揮監督を行う士官の任を拝するにあたり、以下のごとく宣誓する。

 万族ばんぞくを統べたる魔王陛下とその赤子せきしたる国民、何物にも変えがたき祖国の地の守護を司ること、これを無上のよろこびとする。

 私は魔王陛下とその議会が定めたる魔王国憲法及び軍法に従い行動する。

 私の一挙手一投足が、祖国と民の明暗を分かつことを自覚する。

 魔王陛下に代表される祖国のよきものすべての為、我らの敵を討ち滅ぼさんと欲す。

 以上を宣し、私は祖国を護るしこの盾たるを望む。

 魔王国万歳。魔王陛下万歳。

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