第七十四話「さらば孤独よまた会う日まで」
ひとりはここの最高責任者、ヒーロー本部長官の
もうひとりは
顔には
「ったく
「そんなにいきり立つな。また
「わかってらぁ! これが落ち着いていられるかってんでい!」
ヒーロー本部の
ビクトリー変身ギアやキングビクトリーをはじめ、ヒーローたちの武装の開発にはほぼ全てこの男が
また
ありとあらゆる科学の
それが研究開発室の責務であり、
「やはり
「バカ言っちゃいけねえ! 桐華は研究開発室の
「しかし暴走した。安定を
「そこがわっからねえのよ! そう簡単に
それはかつて
ファイルに
怪人
一〇年前、当時から研究開発室長であった
怪人の
「桐華ってのはオメェか。オレが研究開発室長の丹波だ! オメェの
「…………」
「
「…………」
それを知った
もちろん
しかし生まれながらにトップクラスの怪人の
怪人覚醒さえ
黛桐華の
「桐華よぉ、オメェは
「……そうですか」
「てことで今日からオメェに剣術を教える! オレの
「……はい」
ただ言われたことだけを
それは
なにより怪人覚醒へと
もともと感情が
数年が経過し、数値として現れた結果は丹波の想定を
歴代ヒーロー学校の記録を次々と塗り替え、その圧倒的な
史上最強のヒーローを、
「桐華ァ! すげぇ数値だぜ! やっぱりテメェには
「……そうですか」
「ところで最近元気ねぇみてぇだが、なにかあったか? 学校でいじめられてんのか?」
「……なにもありませんよ、なにも」
丹波の
しかしいざ本格的な
むろん怪人覚醒に
丹波からしてみると、
そして“
丹波は桐華が栗山林太郎という男を
しかし丹波には、桐華が“
なにかしらのキッカケを作った者が“ヒーロー
「
「気が
「
「カァーッ! 俺を
「
モニターの中では、赤い点が南極大陸の上空に差し掛かっていた。
…………。
ヒーローの一日は
「さすがに南極はちょっと
烈人が
バナナで
「さて、このあたりのはずだが……あまり時間をかけるのはよくないな! おーい! まーゆーずーみーーーッ!!」
烈人は今回“
しかし
ここで説明しよう!
これぞビクトレッドの新しい
その真っ赤な機体はマッハ
次々と新しいメカを開発するヒーロー本部研究開発室が、その技術の
そんなビクトリーファルコンを、遠くから見つめる三つの影があった。
「なあ、あれ乗ったら帰れるんじゃないか?」
「んじゃサクッと
「けど近づこうにも、こうひらけてちゃ
彼らは秘密結社アークドミニオンの怪人たち、ずばり烈人の敵である。
そして
「
「説得ったって黛、お前の命を
「その点については任せてください。私に考えがあります」
この
烈人は桐華の姿を発見すると、大きく手を
「おーい、黛! ここだ! こっちだぞーっ!」
桐華は
表情を変えずに
「いやー、すぐに見つかってよかった!
烈人の
林太郎とサメっちが追いついたころには、烈人はピクリとも動かなくなっていた。
「センパイ! “
「いまの
「“
「えええ……俺そんなこと言ってたっけ……?」
林太郎は頭をかきながら、
ヒーロー本部がよほどの馬鹿でなければ、帰りの燃料も
林太郎は
「よし、こいつなら動かせそうだな……」
「思ったより早く日本に帰れそうッスね! けどアニキ、その赤い人も
「置いていってもいいんだけどね。ストーブのかわりぐらいにはなるだろう」
「ほんとッス! なんかこの人の周りだけ
林太郎がスイッチを
コックピットから
桐華はそんな林太郎を見ておずおずと腕を伸ばすが、なかなかその手を
「本当に、私も行っていいんですか……?」
「おいおい
「でも私、怪人たちにかなり色々
「だいじょぶッス! アークドミニオンのみんなはいい人たちばっかりッスよ!」
ためらいがちに目を
ふたりは同時に桐華の両腕を
「アニキぃ!
「よくやったサメっち! すぐに出すぞ!」
林太郎はハッチを
ビクトリーファルコンは
そして
巨大なエンジンが
桐華はそのコックピットの窓から、どんどん
白いキャンバスの真ん中に、割れた緑のネームプレートだけが残されていた。
それはもう、いまの桐華にとって必要のないものだ。
桐華が操縦席に目をやると、キョトンとした林太郎と目が合った。
「なんだ
「いえ、あの、そういうわけじゃ……ないんですけど」
「じゃあサメっちが操縦するッス! サメっちこう見えてゲームじゃエースパイロットッス!」
「よおし、おいでサメっち! そのかわりアクロバット飛行は禁止だぞ!」
サメっちは林太郎の
林太郎はその小さな手の上から
桐華はまるで仲の良い
するとそれを知ってか知らずか、林太郎のほうから桐華に話しかける。
「黛、日本に戻るのは嫌か?」
「そんなことは……ないですよ。どうせもう、世界のどこにいたって同じですから」
林太郎は少し考えると、
「いいか
いまはだいぶ
「世界は全然優しくないが……だったら世界が優しくなるまで愛してやれ。お前なりの“
「……それは、いつもの
「“
笑みを浮かべた林太郎の
窓の外では、白く
自分の
どんどん小さくなっていった南極大陸は、いつしか
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