第三十七話「爆勝王キングビクトリー」
美しい森林公園の木々をなぎ倒しながら、サメの頭を持つ巨大怪人と巨大ロボが殴り合っていた。
「メガロドンキーーーックッス!!」
『なんの! アルティメット
その迫力たるやまるで
「うぎゃあーーーーーッス!!」
極悪怪人デスグリーンと化した林太郎の頭上を、巨大な影が通過した。
キングビクトリーの激しい攻撃により、
その衝撃たるやまるで
大地が大きく揺れ、アスファルトにひびが入る。
「アニキぃぃぃ、やっぱり強いッスぅぅぅ」
「だから言わんこっちゃない! サメっち、相手をよく見るんだ!」
数十メートル上空からサメっちの
だが林太郎は、今日のキングビクトリーが
キングビクトリーは
当然のことながらひとりよりもふたり、ふたりよりも五人フルメンバーの
いまのビクトレンジャーは林太郎が抜けたことでひとり
その証拠に必殺技たる『アルティメット
「サメっちいけるぞー! 相手は
「うおお燃えてきたッスぅぅ! サメっちの得意なフィールドに引き込んで、息の根を止めるッスぅぅ!」
大きな水しぶきと
「おりゃあーッス! 必殺フカヒレカッターッス!!」
『ぐわーーーーーッ! なんのこれしきーーーーーッ!!』
サメっちは湖の水を吸い上げ高圧水流の
深さとしては腰あたりまでしかないものの、まさに水を得た魚もといサメである。
巨大化した怪人がロボに勝つという歴史的勝利は、もはや時間の問題かと思われた。
ピピピポポポピ!
そのとき林太郎のギアが、通信を知らせる電子音を響かせた。
『はろー、わしじゃよ林太郎。わしのカワイイ声が
「その声は、タガラック将軍!?」
通話の相手はアークドミニオン
“リアル美少女
ちなみに林太郎は彼女のことを心の中で、設定のお
「なんの用ですかこの
『むほほ、そりゃ決まっておろう。おぬしらがいま戦っておるキングビクトリーがあるじゃろ? それについての重要なことをおぬしに伝えねばならんのじゃ』
「なんですって?」
いつもの軽い調子ではなく、タガラックの声は真剣そのものであった。
まさかキングビクトリーには、林太郎も知らない秘密が隠されているのだろうか?
だとすれば
『じつはな……』
「じつは……?」
林太郎はゴクリと
『キングビクトリーをわしのコレクションに加えたいんじゃが、なんとか
「…………はい?」
『おぬしも知っとると思うが、わしってば超強いじゃろ? いままでわしが
「……切りますよ?」
『ああ、待つのじゃ! かわりになにが欲しいんじゃ? 金か? 金ならいくらでもあるぞ! なんぼじゃ! なんぼ欲しいんじゃほれ、言うてみい!』
林太郎はなにか重要なことを言いだすのかと
タガラックはただ
「俺ならともかく、やりあってるのはサメっちですよ? そんな
『なぜじゃ!? 今のキングビクトリーはメタクソに弱っておるのじゃろう? こんなチャンス
「そりゃまあ、サメっちでも勝てそうなんだから、チャンスっちゃあチャンスですが……」
そこまで言って林太郎は、自分の言葉にハッとした。
キングビクトリーは何故あんなボロボロの状態で戦っているのか。
ずっとそこが引っかかっていたのだ。
キングビクトリーがサメっちひとり相手にあれほど苦戦しているというのは、まさに異常事態なのである。
考えてもみよ。
いや、あっという間に退場したが、パニックダイルさんも
そして怪人が複数体いるということを、彼らは事前に知っていた。
知っていたからこそはぐれ
もし
『おーい林太郎? 聞こえとらんのか? おぉーい!』
「待てよ……まさか……俺はなにかを見落としている……?」
相手にとって有利なフィールドでは戦わず、まず勝てる状況を作り出してから勝負を挑む。
それは林太郎自身が
ならばいま彼らヒーローがやっていることは、
イエローとレッドはかつて一度怪人化したサメっちと戦っている。
“
なのにわざわざ傷ついたビクトレンジャーを
「いや、そんなことが……考えろ考えろ考えろ……」
彼らヒーローは
ビクトレッドは確かに「デスグリーンを倒す
ならばたとえ湖というサメ怪人の得意なフィールドで戦う状況であったとしても。
たとえここからデスグリーンが巨大化して参戦したとしても、“
「ちくしょう! そういうことかッ!」
それらの
なぜその考えに至らなかったのか、林太郎は
「サメっち、
林太郎の叫びがサメっちに届くのと、それはほぼ同時であった。
湖に半分ほど
「うひゃあーーーーーッス!?」
狭山湖を割り現れた
ズズウウウウウウウン……。
横っ飛びに投げ出されたサメっちの巨体が、なされるがままに大地をえぐる。
「きゅぅぅぅぅぅッス……」
『
それに続くように狭山湖からだけでなく、
『
『
『
鋼鉄のボディが
一体ならば
さながら最終戦争でも
「
その巨大ロボの数、キングビクトリーをあわせてゆうに
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