第二十五話「絡繰将軍タガラック」
ヒーローの朝は早い。
勝利戦隊ビクトレンジャーのリーダー、
「今日もバッチリ決まっているな!」
烈人は鏡を見つめながら、満足げに引き
原理は不明だがこの男がいるだけでなぜか
まるで真夏の
東京はこの冬一番の冷え込みで最低気温は
どれほどの健康優良児であっても、半袖で
「ふんっ! ふんっ!」
そんなことはお構いなしに、烈人は近所の公園で
ヒーロー学校時代からこの公園に通い始めて、かれこれ三年が
子供たちに元気に
鳥や猫が勝手に
親友や後輩を
ヒーローとはえてして
そしてその親友、栗山林太郎は、もういない。
林太郎だけではない。
ビクトブルー・
ビクトピンク・
ビクトイエロー・
愛すべき仲間たちは、たったひとりの怪人によって壊滅させられてしまった。
その者の名は、極悪怪人デスグリーン。
「うおおおおオッ!! 絶対にゆるさんぞデスグリーンッッッ!!!」
怒りの声は
烈人は
…………。
怪人の朝は早い。
極悪怪人デスグリーンこと、栗山林太郎の一日は生命の危機から始まる。
「あぶねええええぇっっ!!!」
不健康そうな肌にはじっとりと
一度ガツンと言ったほうがいいのかもしれないが、追い出して泣かれでもしたら周囲からまた女の敵とそしられる事態は
「「おはようございますデスグリーンさま」」
「ああ、おはよう……って誰あんたら!?」
自分の寝室に見知らぬ男女が立っていたら誰でも驚くだろう。
男はビシッと決まった
そしてふたりの顔はまるでライン工場で生産された
「わたくしは
「わたくしは
「「
タガラック……その名に林太郎の
アークドミニオン
そしてドラギウス
いまもっとも
「いやそもそも、勝手に部屋に入ってこないでもらえませんかね……」
「お邪魔ということであれば、わたくしどもは部屋の外で待機しております」
「
「まあ待ちたまえよ君たち。その誤解はよくないな、実によくない」
林太郎は
「シャワーの用意ができてございます」
「タオルと
「こちらに新しい
「朝食は
かつてこれほどまでに
林太郎はふたりに連れられ、アークドミニオンの地上行きエレベータに乗り込んだ。
ちなみにサメっちはまだ寝ていたので置いてきた。
これから自分の正体を知る人物に会うのだ。
サメっちがいれば話がややこしくなることは間違いない。
「ちょっと待って、どこまで
エレベータは地上一階を通過し、どんどん
そして
東京で最も高いビル。
その最上階を訪れる機会など、当然のことながら林太郎の人生
“会長室”と書かれた
執事とメイドは
「失礼します……」
林太郎がおそるおそる部屋に入ると、会長室の
「待っていましたよ、栗山林太郎くん」
その男、
グループ全体の
その『タガデン』を
「こうして直接
日本経済の一割を
もはや悪い
林太郎としてもどう返せばいいかわからない。
「……はあ、どうも」
「待っていましたよ、栗山林太郎くん。こうして直接話すのは初めてかな。私が絡繰将軍タガラックだ」
「それはさっきも聞きました」
「待っていましたよ、栗山……クリ……クリリリリリリリリリリリ」
ボンッ!
という
「ありゃ、スピーカーがイカれおったわい。うーむ、いかんのー。やっぱり“ラ行”が続くと弱いのー。そうじゃ、おい林太郎、おぬし
バグった多賀蔵之介会長の
長すぎる
日本ではめったにお目にかかれない
「クリリンとかどうじゃ、チョベリグじゃろ」
「絶対に嫌です」
「なんじゃつまらんのー。おぬし、ちとユーモアが足りんのー」
祝賀会で
この幼女こそが機械系怪人の
「
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