拙い好意

「あ"ッ!痛ただたたたっ!!痛い痛い、ちょっと待って!」


穴に指を挿入するなり、カーラは悲痛な叫び声をあげた。


「何?痛いのか?」


照れ隠しか何かかとも思ったが、いつもより青ざめた顔はその言葉に真実味を帯びさせた。


「はぁ…はぁ…、に、人間って意外とハードなことをするんだね…僕たちにはちょっと無理かも…。」


冷や汗を流しながら弱音を吐くカーラに戦慄する。

冗談ではない。こんな状態で生殺しなど兄上でも耐えられないだろう。俺は余裕の無いことを悟られぬよう、カーラに提案する。


「…ここが、女体ほど滑りやすく無いのだろう。潤滑油か何かあれば良いのかもしれん。」


「…ふーん、なるほどね。いい考えかもしれないなぁ。」


そう言うとカーラは、頭よりも高い位置で指をパチンと鳴らした。


ギィ……


すぐさま部屋の扉が開く。


「はい、お呼びでしょうか、ご主人さ…ま…。」


ミラだ。こちらを見るなり、驚愕でものも言えなくなっている。無理も無い、目の前で男が二人、事を致しているのだから。


「ミラ、ローション持ってきてくれない?」


「え?」


カーラの一言で、そんなミラの顔には絶望の影がさした。最早見られたことの羞恥よりもミラの置かれた立場への憐れみの方が勝る状況下で、俺はそっと扉を閉じてやる。


「あれ、どうしたのかな。せっかくローションを頼もうと思ったのに…。」


「お前はなんと言うか、無神経すぎる……。」


「じゃあどうするの?見たところ君、もう我慢出来ないんでしょ?それ。」


「……ッ!」


顔が燃えるように熱い。妙なところで勘が良い奴だ。事実俺の下着は張り詰め、実に窮屈だった。半ば誤魔化すように言葉を絞り出す。


「……もっと、腰を上げろ。」


「腰?こう?」


はい、と協力的な姿勢をみせるカーラに重ねて欲情しつつ、先程指を入れていた部分をじっと見詰めた。

今からやろうとしている行為に少しの躊躇いがある。引かれやしないだろうか。いや、こいつなら悦びそうでもあるが。しかし…。


「あれ、そういう趣味の人?」


「……………………そんな訳があるか。」


カーラのその言葉は俺の箍を外させた。勢いよく口を開き、ソコに向かって舌を伸ばした。


ぬぷっ……♡


「え」


間の抜けたカーラの声が向こうからこもって聞こえてくる。

間髪入れずにまだ入口付近にしか入っていなかった舌先を奥へと入り込ませた。唾液をよく絡ませたので滞りなくするすると入る。


「い"ッ…や、いやいやっ、ま、待って♡♡どこに何を入れッ…あ"ッッ♡♡」


デーモン種の舌は長く、唾液分泌量は通常の人間の5倍と言われている。を解すには最適なのでは無いかと思ったのだ。案の定、指よりも入りやすく、カーラの反応も芳しい。少し奥の方にあるしこりを舌で強めに押してやると、カーラは腰を反らせた。


「あ"ッあ"、ぁあ"ーッ♡いい"…ッ♡は、ぁ"♡ハァッ♡それ、ッすご♡♡気持ちイイ"ッ…♡♡」


無意識か、カーラの腰は初めての感覚にゆるゆると動いていた。いつもは俺が調子を狂わされ、翻弄されるほうだがこれは…。


悪くないな。


そう心の内で呟きながら、前の方にも手を回した。先程よりも大きくなったように思えるそれをゆっくりと撫で回す。


ぬるっ♡


「ぁ"ッッッ♡♡♡♡」


聞いた事のない声がカーラから漏れ出た。ぞくぞくと腹に心地よい電流が走り、下腹部が更に熱くなる。


その後、俺は小一時間ほど夢中でカーラを貪り続けた。


「も"、あ、なんか、なんか変、だッぁ"ッ♡♡お"、おかしくなりそう"ッッ♡♡♡」


カーラは何度かこういって脚をガクガクと震わせた。俺は少々心配になり、そうなると一時休憩を挟んで再開していたが、今回はカーラが何やら妙な動きをしている。


「?…………どうした、カー…ラ…。」


俺が名前を呼び終わる頃には、カーラの脚は全てが見えるように開かれ、帽子は半分脱げかけていた。

今まで俺が舌で犯していた場所は、俺の唾液に塗れ桃色に色付いている。そこから少し上を見れば、時折ぴくんと跳ねながら反りたっているものが俺の情欲を煽った。何よりもその蕩けそうな余裕の無い顔に目が釘付けになる。

視界の端でカーラの手が、先程の本の1ページを指差した。


「ねえ…もう多分、大丈夫だからさ…、こんな風にめちゃくちゃにしてよ…。」


ドクンッ


鼓動と言うには余りに大きな音が脳に直接伝わる。


「…いい、のか。」


小さくつぶやくと、カーラは挑発的な目でこちらを見詰めた。荒くなる息を噛み殺し、生唾を飲み込む。

ゆっくりとカーラの脚に手をかけ、太腿を限界まで広げた。

そのまま覆い被さると潰れてしまわないか心配になりながらも、その体格差に支配欲を駆り立てられる。


ぬぷッ…♡


「ぁ"、ぁッ……ハァッ…♡」


カーラの口から熱い吐息が漏れ、俺の耳を犯した。


「ぐッ…ぅ"…ッ♡かぁ、ら…ッ♡///」


十分に解したにも関わらず、きつく締め付けてくる感覚に不覚にも悶えてしまう。

激しく動いてしまいたいが、急に動くと壊れてしまうかもしれない。高まる衝動を抑えながらゆるゆると腰を動かしていると、突然カーラの足が腰に絡みついてきた。


「!?、は、ッ♡♡か、カーラ" ぁ"ッッッ///♡♡」


その勢いでずぶずぶと根元まで飲み込まれる。頭が真っ白になり、腰が砕けそうになる感覚に、声が震えた。


「や"ッ///やめんか、ぁ"ッッ♡♡ふ、ぅ"ッッッ♡♡♡待て、出るッッッ♡♡出るから"ッッッ♡♡♡///」


「ハァッ♡ぁ"ッ♡ん"ッッ♡♡悪いけど、ッッ…♡だいぶキててねッ♡♡♡は、あ"ぁ"ー…ッッ♡♡♡///そこっ♡ハァッ…お"くッ♡♡♡♡」


ぐりぐりと奥で先端を嫐られ、射精寸前まで追い込まれた俺に、カーラが追い打ちをかける。

カーラの脚に力が入ったかと思えば、突然右に重心が傾き、ぐるりと互いの位置が入れ替わった。

カーラは俺に馬乗りになり、その重みで中にずっぷりと限界までめり込む。


「ぁ"ッッッ♡♡ぃ"、ぐ…ッ♡♡♡♡」


ビュルッ♡


瞳の奥で星が弾けたように視界の端々がチカチカと光った。

背筋と下腹部が甘く痺れ、あまりの快感に腰が浮く。


「ぁ"…………ッ、ぁ"…♡♡♡///」


「ハァッ♡ぁ"ッッ♡♡熱ッぃ"ね…♡こんな熱いものが身体の中に入ってきたのは初めてだなぁ"…♡は、ッ…もっと出してよ…ッ♡♡」


そう言って腰を捻るように動かすカーラ。


「はッッッ♡♡ぁ"♡♡♡や"ッめ♡♡ぐ、ぅッ♡♡」


強すぎる快感から逃げるように身を捩る。射精してすぐの身体には酷な刺激で、また少し中に出た。


「ハァッ…♡ハァ…♡あ"、ぁ"ッッ♡♡もっとッ…♡♡///」


カーラはその鋭い目付きからは想像が出来ないほどうっとりとした瞳をしていた。

ふと、顔が接しそうなほど近いことに気が付き、鼓動が早まる。


「ぉ"、い、近ッ…///」


言いかけた瞬間、カーラは俺の言葉を遮った。


「こうしてるとまるで、あの本に載ってたつがいみたいだね…♡」


そう言いながら、カーラはゆっくりと頭の方に手を伸ばし、帽子を脱いだ。


その仕草が妙に性的で。

告白のようにも思えて。

都合のいい解釈だと分かってはいるが、どうしてもまた中が窮屈になる。

血が凄まじい速さで全身を巡り、身体が熱くなった。気付けば俺はカーラを押し倒していた。


「ハァッ…♡カーラ…ッッッ♡♡♡♡♡」


好きだ。


その言葉で頭の中がいっぱいになる。

しかし、カーラの本心が定かではないことが恐ろしく、口に出すことができない。

想いは募るばかりとはよく言ったものだ。

言葉で伝えられない代わりに、腰を激しく打ち付ける。


ぢゅぷッッ♡♡♡


「あ"ッッッ♡♡♡♡♡♡」


突然奥を突かれてカーラは腰を反らせた。もう歯止めは効かず、腰は止まらない。


「ん"、あ"ッッ♡♡カッ、カクッッッ♡♡♡♡そこばかりッ♡♡は、ぁ"ッッッ♡♡♡♡///」


カーラの脚がまたガクガクと震え始めた。薄い唇が必死に俺の名前を呼んでいることに、興奮が抑えられない。


「カーラ…ッ♡つがいならばッ♡♡このような時何をするか分かるかッ…♡♡///ハァッ♡」


「え"ッ、ぁ"ッッッ♡♡わ、分からな、ぃ"ッ♡♡♡♡ん"////」


俺はカーラの手に自分の手を重ね、するりと指を絡ませた。目をゆっくりと合わせる。


「接吻だ。」


「……ぁ…///」


カーラは何かを言いかけたが、それを待ってやる余裕は無かった。そのまま食らいつくように唇を重ねると、熱がそこからじわりと広がる。カーラは自ら口を開け、舌を差し出して来た。互いの舌を絡め、カーラの口内を犯す。

俺の長い舌が口の中でぬるりと動く度に、カーラは腰を跳ねさせた。

頭が痺れ、もうこいつのことしか考えられない。気付けば俺はカーラのそれを手で扱き、腰の動きも激しくなっていた。


「フーッ…♡フッ……♡♡ん"ッ…♡♡」


「ンン"ッッッ♡♡♡ふ、ぅ"ッ♡♡フーッ♡♡♡ん"んん"ッッッ♡♡♡♡」


カーラが俺の下で何か言いたげに身悶えしているので、少し口を離してやった。


「あ"ッッッ♡♡♡♡待っ…、て♡♡♡♡なんか来る"ッッ♡♡♡♡出る、ぅ"ッッッあ"♡♡♡♡♡////」


ビュルルッッ♡♡♡


勢いよく射精されたカーラの精液は、カーラ自身を汚した。肩で息をしながら今にも気を失いそうな顔をしている。

こんな様を見て落ち着くまで待ってやれる男は居るのだろうか。俺には無理だ。カーラの白い首元に獣のごとく噛みつきながらまた激しく動き始める。


「え"ッッッ待"っ♡♡♡♡♡///ぃ"ッ今はむり、無理だよッッッぉ"、ぁ"ッッ♡♡♡」


「ハァッ♡♡お前が、今しがた俺にやった事だろうッ♡♡ん"ッッ、は、ぁ"♡♡///」


「は、ぁ"ッ♡♡♡だってッ♡♡こんな、知らな"っあッッぁ"あーッ♡♡♡♡ま、また出るッッ♡♡出るぅ"ッッッ♡♡♡♡」


「ハァッ…♡♡カーラッ…♡ぐ、あぁ"ッッッ♡♡♡俺も、またイクッ…♡♡♡♡」


互いに固く抱き寄せあい、深い絶頂に身を任せる。


ここまできて届かない俺の好意は、行く宛てもなく俺の胸に仕舞い込まれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

好奇心 王水 @pinnsetto87653

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る