いや、あいつランカーじゃん。

 眠い目を擦りながら学校の校門で待つ。

 カイトと荒野人格をプレイしたのだが、あいつはランキング上位常連の有名プレイヤーだった。

 実力差は歴然で、プレイについて行くのが必死。

 情報を聞き出す余裕なんてなかった。

 結局朝まできゃりーして貰い、徹夜になってしまった。

 急いで家に帰ってシャワーと着替えだけ済ませ、早朝の校門に到着した次第である。

「もうそろそろ来る時間だ」

 俺が待っているのは八足ヤツメ。

 昨日のノブレスカイトの集会で見かけたクラスメイトだ。

「おはよう、どこ行くんだ?」

「ち!うぜーから掴むなよ、良い子ちゃん野郎」

 俺を見付けたらしい八足は、校門の逆端からコッソリ入ろうとした。

 急いで近付いて腕を掴むと、いつも通りの嫌悪感丸出しの表情をされた。

 八足は所謂不良である。

 と言っても進学校の不良なので、可愛いもの。校則違反して制服を着崩すとか、授業中に寝てるとか、程度の反抗である。

 と思っていた訳だが。

「ノブレスカイトに参加してるのはマズいだろ?」

「オマエ、何でそれを!?」

 八足は青い顔になり、周りを見回す。

 周りの生徒は、『クラス委員と不良がまた何かやっている』程度に指さしているだけで、ノブレスカイトと言うワードに反応している様子は無かった。

「食堂にでも行こうか」

 八足は舌打ちをし、乱暴に俺の腕を払う。

 しかし、逃げ出さない所を見るに、快く同意は得られたと言った所だろう。

 俺が集会で黒いジャケット達に追われていた事は、八足にバレていないようで助かった。

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