第18話 二人の想い。最初で最後の熱い夜に
優矢が私の部屋に訪れ軽く状況を話し部屋を後に外出した。
私達が向かった先は、ラブホテルだった。
「悪い…下手に出歩ける時間でもないし…店に入って長くはいれないから」
私は首を左右に振る。
「大丈夫。優矢と一緒にいられるなら全然良いよ」
「そっか…サンキュー」
私達はベッドに並んで座る。
「優矢、屋敷を出て来れたのは何か理由あるの?」
「ああ…出て来れたと言うよりも飛び出したが正しいだろうな」
「えっ!?まさか反対押し切って飛び出して来た?」
「反対も何も…そんな理由を覆す現実を目の当たりにしてきたんだよ…」
「えっ…?覆す…?」
「ああ…あの女…女好き…」
「…えっ!?…ええええっ!!…お…女……好き…?」
私は衝撃過ぎて、それ以上の言葉が出なかった。
「何となく怪しい雰囲気を前にも見た事あったから…まさかと思ったけど…」
「そ、そう…なんだ…。でも…優矢と関係持っていたのは事実だよね…好きだったんだよね…」
「そうだと思うけど…正直…何とも言えねーな…」
「そっか…でも…今後、関係持つ事はあるよね…?」
「…それは…ないとなると嘘になる」
「…私達…距離…置いた方が…良い…のかな…?」
「藍花…」
「私…優矢の事…好きだけど…不安だし…婚約者なら将来決まっているのも当然だし…子供だって…」
私は泣きそうになった。
優矢は、それに気付いたのか抱きしめた。
「…藍花…」
「…優矢…」
私は優矢をぎゅうっと抱きしめると、優矢もそれに応えてぎゅうっと抱きしめ返し私達は抱きしめ合った。
「…小切手も…戻って来る保証もないし…使われたら元も子もないよ…」
私は涙が溢れた。
「…藍花…ごめんな…お前に…辛い思いばっかさせて…」
私は首を左右に振る。
溝――――
絆――――
信頼――――
私達の間には
何が必要でしょうか?
言葉だけじゃ
物足りない
関係持っても
本当に
そこに真実は
あるのでしょうか?
「優矢…もし…もしだよ…無事に小切手が戻ってきたら……私……小切手を返す……そしてケジメをつけるから……」
私は抱きしめた体を離し笑顔を頑張って見せる。
「…藍花…お前…」
「…優矢と…距離…おくね…」
「…じゃあ…もし…戻って来なかったら…?そうは思いたくねーけど…その時は…どうするんだ…?」
「…優矢とは…もう…会わない…」
「…それって…別れる…って…事か…?」
私は涙を堪えながらもゆっくりと頷いた。
「…好き…だけど…別れる事も…ある…わけだし…別々の道…歩むしか…ないって…」
私は下にうつ向いた。
「…それに…それにね。私…まだ…優矢に話していない事があるんだ…」
「…えっ…?」
私は顔を上げる。
「…でも…今は…言わない…」
「藍花…」
「だけど…話す時は…そんなに遠くはないと思う」
「……………」
「…それじゃ…私…せっかくだしシャワー…浴びたいんだけど…」
私は立ち上がる。
「ていうか、今日は、どうすんの?」
「えっ?」
「家には戻らない予定?それとも戻るのかな?だったら帰ってからでも良いんだけど…話もまだあるなら…」
優矢はクスッと笑うと
「戻る気ねーし、話もない」
「そっか。じゃあ、シャワー…」
グイッと引き寄せられたかと思うと私を押さえつけた。
ドキン
「さっき言ったろ?お前を帰さないって…今夜は誰にも邪魔されない。いや…邪魔させない…今迄にない二人の時間にするんだよ」
ドキン
「…優……」
キスで唇を塞ぎ、深い深いキスをされた。
「…優…っ!」
《ヤバイ…今日の優矢…違う人みたいだ…》
体が熱を帯びてくる。
「優…矢…待って…シャワー…」
グイッと起こすと、私を抱きかかえると脱衣場の前でおろすと壁に押し付けキスをする中、私の洋服が足元に滑り落ちる。
「藍花…抱いて良い?」
「えっ…?シャワー…」
スッと唇に人差し指で触れる。
ドキッ
「恋人同士の俺達に時間も場所もねーんだよ…特に障害のある俺達だし…今は尚更…二人の時間が大切だろ?」
私達は、恥ずかしがりながらも初めて一緒に入る。
「…ねえ…優矢は…ここに何回も来た事あるんだよね…」
「あるけど?…でも…好きな女連れて来たのは初めて…それに…言っておくけど…俺、女と関係持ったのお前が初めての女だから」
ドキン
「えっ…?…嘘…だって…」
「お前が俺に全て奪われたように、俺もお前に全て奪われたんだよ。お前が最初に思っていたイメージも周囲が思っていたイメージ…全然違うから。お前が知ってる俺が本当の俺だから」
私達は1つになる。
シャワー室を後に久しぶりの二人の時間に嫌な事を忘れられ愛し合い再び1つになる。
私達の夜は、いつにも増して熱く激しく愛し合う夜になっていた。
お互い最初で最後の夜になるかもしれないと…
私達はお互い何度も何度も身体を求めていて、二人の想いがいつも以上に1つになっていた。
「…優矢…」
「…藍花…」
何度も何度も唇を重ね深いキスを何度も何度もする。
「…優…矢…っ…頭が…おかしくなりそう…」
「…藍花…そのまま…大丈夫だから…」
私の身体中に電気が走るような感覚を感じ優矢に抱き付き今迄ない声が恥ずかしいくらいに洩れてしまい身を委ね脱力感に襲われた。
「…藍…花…大丈夫か…?」
「…う…ん…」
キスをする優矢。
「…んんっ…!」
身体中に唇が這う中、過剰に反対している私に意地悪をする優矢。
「…優…矢…辞…め…」
「さっき俺に可愛いってからかった罰…俺もお前の全てを見たいんだよ」
そう言うと優矢は、再び私の身体の中に熱を貫かれ、私達は二人きりの幸せな時間を過ごしていた。
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