第15話 関係

「今日から、このクラスに転入生として来た……」


「伊江元 流麗です♪」



彼女から自己紹介をする。



校長と教頭と担任の先生と一緒に私達の前に彼女は現れた。



私と優矢は顔を合わせ、優矢は何も聞いてないという素振りで首を左右に何度も振る。




彼女が動き出した。


いや…優矢の母親と彼女がという言い方が正しいだろう





「分からない事ばかりなので、宜しくお願いします♪」



「伊江元さんは、尾田桐君の婚約者でもあるから、皆さん仲良くするように」



校長が言った。





「マジかよ…」

「婚約者だって…」




クラスがざわつく。



「やっぱり違うよな…」

「流石だよね…」




色々な声が飛び交う中




「特に、尾田桐君。彼女は君の大事な婚約者(フィアンセ)です。良いですね」



「………………」



「…面倒くさ…」


俺はポツリと呟いた。





そして私達の波乱万丈な生活が始まる。


彼女は、クラスメイトと仲良くする所か、一日中、優矢にベタベタだった。


まるで私達を引き裂くように………




「皆様、良い方ばかりですわね?素晴らしい方々に囲まれて優矢さんは幸せですわね?彼女をのぞいてはですけど…ね?優矢さん」



彼女が利用している車(リムジン)の車内。


強制的に移動用の車(リムジン)に乗せられた。


俺に腕を絡ませ凭れかかるように彼女はする。




「……………」



「どうしてここの学校へいらしたんですか?どう考えてもあなたが来るような場所じゃない事くらい、お分かりでしょう?」



慣れない敬語。


下手に行動出来ないのも辛い。


俺は更に言葉を続ける。



「俺は一般の高校。あなたは危険な高校に自ら足を踏み入れているんですよ。良く、ご両親がお許ししてくれましたね?それとも…俺の母親があなたを見張り役にでも?もしくは…個人的な行動でしょうか?」


「お気になさらないで」



「……………」




「それよりも…」




彼女は、俺にキスをした。



「ちょ…何す…」


「優矢さんは、私のものです。彼女、一般のあの人には、お渡ししませんわっ!」



そう言うと、自ら自分の胸に手を当てさせる。




「彼女よりも私の方が大きいでしょう?」




色目を遣い、俺を見つめる。



「大きいのは嫌いですから」

「そんな事言って照れてらっしゃるんでしょう?優矢さん」


「別に照れてないですが?」

「良いんですのよ。優矢さん」



「…好きな女以外…色気も何も感じねぇんだよ…」




お嬢様の耳には聞こえないように横に振り向きボソッと呟く。




「えっ?何か言いました?」

「いいえ何も」

「そう?」




お嬢様は、再び俺に凭れかかる中、車は、走っていく。






その日の夜。




「優矢さん」



俺の部屋に訪れるお嬢様。


お嬢様は体のラインや下着姿がハッキリと見える、透けている格好で現れた。




「………………」




俺を抱きしめる彼女。




「ねえ、抱いてくださらない?私…あなたの事こんなに愛しているのにどうして…?」


「あなたの想いを押し付けられても困ります。俺はそれにお応え…」




キスをすると押し倒された。



「や、辞め…何すん…」




頭がボーッとしてくる中、眠くなってくる。


まさかと思ったが、彼女は、俺に睡眠薬を飲ませたと思われる。




「優矢さん…私もこういう事はしたくないけど私だって優矢さんが好きなんですのよ…でも…子供をつくる為だけ…だけど関係を持っておかないと、彼女を諦めさせる事は出来ないんですのよ」




二人は一つになるのだった。





ふと目を覚ますと隣にはスヤスヤと眠っているお嬢様の姿があった。




「………………」





俺は凄く悔しかった


女の汚いやり方に


俺は


お嬢様も母親も憎んだ


この状況は続く


そう思い


俺は覚悟を決めた


こっちから利用してやると………




所詮


お金で俺の大事な女を


巻き込んだ奴等だ


だったら


大事な女を守る為なら


俺は何でもやると……




「あら?藍花さん今からお出かけですの?」




ビクッ


私は驚き、振り向くと、そこにはリムジンがあり後部座席の窓が開いてる所から顔を見せる優矢の母親姿があった。



「はい…出掛けますけど…何ですか?」

「あなたにご報告がございますのよ」

「えっ?」

「昨日、お二人は一夜を明かしましたの」




ズキン


胸が痛む。




「あなたには引いて貰うように優矢があなたに伝えて欲しいと言ってましたわ」



「………………」



「優矢も、とても御満悦だったみたいですわよ」



「……………」



「二人は愛し合っています。あなたの入る隙なんて一切ございません事よ。今後一切、二度と優矢に近付かないようにお願いしておきますわ。藍花さん」




そう言うと私の前から去った。





「……………」





私は泣きそうになった。






正直信じたくなかった……




だけど……



一気に不安になった




でも……




私は優矢と約束した言葉を支えに


信じていた


不安と闘いながら……


信じるしかなかった……






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