第11話 俺の女に
「どうやら大人しくしているようね」
「ええ、お母様」
「二人は引き裂かれて良い運命なのよ」
「そうですわよね」
「だって優矢の彼女はあなた一人で十分ですもの。美人で気が利いて、とても素晴らしく良いお嬢様ですわよ。流麗さん」
「お母様」
見つめ合い寄り添う二人の姿を偶然見掛けた俺は異様な光景を見たような気がした。
ある日の事――――
「あーーっ!疲れた」
「お疲れさん」
声がし振り向く視線の先には優矢の姿があった。
ドキッ
胸が高鳴る。
「ゆ、優矢!?何してんの?帰りなよ!」
「帰るわけねーじゃん!部屋、あがらせろ!」
「えっ!?いやいや、優矢をあがらせるのは…あんたにキノコ生えてくるから辞めなよ!」
「キノコって…上等じゃねーか。俺にキノコ生えてくるなら相当上等なキノコだろうな」
「はあぁっ!?あんたの頭ん中、イカれてる!」
「はあぁっ!?お前に言われたくねーな!」
「ふんっ!とにかく帰って!」
私は去り始める。
グイッと私の手を掴み、くるり半回転すると引き寄せられてしまい唇を奪われた。
すぐに唇が離れたかと思ったら
「ちょ…ちょっと…」
首スジに唇を這わす。
「優…っ!」
「…悪い…つーか…お前に聞きたい事があるんだよ」
「えっ?」
「何もしねーから!」
「何もって…キスしたじゃん!」
「それは…ちょっと…つい…お前が…」
「えっ…?」
ちょっと赤面している様子も伺える。
「良いからあがらせろ!第一、俺達の間柄関係ねーだろ!?何回キスしたと、お思いですか?緒賀本 藍花さん」
「…そ、それは…」
「深いキスもしてるし…もっと色々教えてあげようか?藍花。お前…俺にどれだけ奪われ教えて貰ってんだよ」
かあぁぁぁっ〜!顔が熱くなったのが分かった。
「さ、最低っ!部屋あげたら尚更襲われそうじゃん!絶対ヤダっ!」
グイッと肩を抱き寄せる。
ドキッ
「なぁ藍花…正直な事言って良い?お前が、可愛い過ぎて抱きたくなったら抱いちゃうかもしれないなぁ〜」
「な、尚更嫌っ!」
バッと離す優矢。
「でも、お前がそういう素振り見せなかったら全然大丈夫なわけだろ?」
「……………」
「絶対ならないから!キス以上したら許さないからっ!用事済んだら帰ってよね!?」
「分かったよ」
私は初めて優矢を部屋にあげた。
「お前…一人?」
ギクッ
「あ、うん。家、共働きだし。夜勤とか、そういう関係で…今日はいないんだ」
「あー、そういう事」
〜 優矢 Side 〜
それが嘘か本当かは知らない。
だけど…
アイツの両親を見かけないのは気付いていた。
親と別に暮らしているか
他に理由があるか
俺は何も聞かなかった
必ず藍花の口から
話してくれると思っていた
「それで、私に聞きたい事って何?」
「いや…」
「えっ?用事あって来たんでしょう?キスまでしておいて」
「まあ…」
彼女が飲み物の準備をしている間、俺はあるものに目が付いた。
「これ…小切手…」
「転勤族だから滅多にお客の出入りないからコーヒーしかないけど」
俺は慌てて置く。
そんな私も優矢の行動に気付かずにいた。
「はい」
「ああ、サンキュー」
「で?用事って?」
「お前がバイトしている理由って何?」
「えっ!?それは…」
「ごめん…言いにくいなら無理に聞かねーけど…」
「自分のお小遣い」
「えっ?」
「やっぱり、16、17って欲しい物とか沢山あるしバイトしてる子いるわけじゃん親にばかり負担掛けられないからさ少しでもと思って…」
「そっか…」
「それより大丈夫?」
「えっ?」
「いや…余りこっちには…住む世界違っ…ごめん…」
「いや、別に」
「…………」
《な、何…話そう…》
《男の子あげるなんて初めてだし》
《し、しかも好きな人なんて…》
「ね、ねえ。お嬢様とはどうなの?」
聞きたくないけど、つい尋ねてしまった。
会話が見付からないのもあったんだけど…
「別に。俺以外の向こうの気持ちとお互いの両親公認なだけだし」
「えっ…?あ、そう…」
「それより、俺の母親と、あの女、怪しく見えたんだけど…」
「えっ!?」
「見つめ合ってベタベタで。まあ、お互いの社会的な問題あるだろうからだと思うけど…」
「怪しいと思うなら聞いてみれば?」
「出来る訳ねーじゃん!」
「えっ?」
グイッと引き寄せる優矢。
ドキッ
「興味ないし、好きでもねー女助けて何になるわけ?」
「優矢…」
優矢は、キスをし、一旦、唇を離すと再びキスをすると、ゆっくりと倒し深いキスをした。
「…っ…」
至近距離で見つめ優しい重みを感じながら私の両頬を優しく包み込んだ。
「あんたが俺の女になれば良い」
ドキン
そう言うと再びキスをし首スジに唇を這わせた。
洋服が乱れ始める中、私の身体に唇が下へ下へと這っていく。
私の身体は熱を帯び、甘い吐息が洩れてしまった。
「…優…矢…っ!待っ…」
「……………」
「…悪い…」
申し訳なく謝る中、優矢は上を脱いでいた。
目のやり場がない中、私の胸はドキドキ加速していた。
「…約束…違う…じゃん…」
私を起こし、ぎゅうっと抱きしめる優矢。
「ごめん…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます