第9話 罠
「ねえ、優矢さん、私達、親公認の恋人同士でしょう?私の事、抱いて下さらない?」
「……………」
「私(わたくし)あなたと1つになりたいですわ」
「親…公認…ねぇ〜。それはあなたとお互いの両親のみですよ。俺は別に」
「あなたの噂はお聞きしています。好きでもない異性を抱く事は簡単な事と」
パサッ
彼女は自ら洋服を脱いだ。
「私を抱いて下さい!」
ドサッ
彼女は俺を押し倒した。
「ちょ、ちょっと何すんだよ!」
俺は彼女を押し退けた。
ドサッ
床にわざとらしく転倒する彼女の姿。
「きゃあっ!」
「流麗様っ!どうされたのですか?」
メイドが駆け寄る。
「まあっ!流麗様っ!大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」
そう言いながらメイドは彼女に洋服を羽織る。
その日の夜。
「優矢っ!あなたは公認とはいえ伊江元財閥のお嬢様を無理矢理押し倒して淫乱な事をするなんて何て事を!」
「はあぁぁぁっ!?無理矢理って…アイツが俺を…」
「まあっ!婚約者をアイツなどと…言葉を慎みなさいっ!」
「…ふざけんな…俺よりも向こうを信じんのか?大体、向こうが洋服脱いで俺を押し倒し…」
「流麗さんが、あなたから洋服を脱がされたとおっしゃっているのです!」
母親は俺が言い終える前に塞いだ。
「……………」
「優矢…あなたはどうしてそんなに変わってしまったの?以前こちらにいらした女性の方ね」
「誰の事だよ…」
「流麗さんも会った事あるみたいですし、一般の方とはどういう関係なんです?」
「誰の事か知んねーけど、俺は何もしてねーからな!」
俺は屋敷を飛び出した。
〜 優矢 Side 〜
一般?
俺は考えた
まさかアイツ…?
そんな中、俺はありもしない事を言われたのには腹立しかった。
どういうつもりだ?と……
別に俺の事はどう言われても良い。
確かに嘘をつかれ俺を悪者扱いされたのは予想外だったが、向こうがそう出て来る事に対して、そういう汚いやり方するなら、それをうまく利用してやると。
だけど……
アイツ…藍花の事を悪く言われるのは俺は許せなかった
俺達は、お互い信頼しあえる関係でいたいし、俺はアイツ…藍花の事をもっと知りたいと思っていた。
俺は街を一人出歩く。
今は夜の景色で正直大人の時間だ。
下手に目立つ所にはいられない。
その時だ。
俺は意外な人物を見掛けた。
「おいっ!バイト!こっち手伝ってくれ!」
「はいっ!」
「藍花?」
工事現場で働く彼女の姿。
「工事現場って…無茶苦茶だろう?」
俺は様子を伺っていた。
そして。
「お疲れ様でーす。お先に失礼しまーす」
「ああ、お疲れさん。学校頑張れよ!」
「はい!ありがとうございます」
俺はバレないように後を追った。
しばらくしてアパートに到着し、アイツはその建物内に入っていく。
「ここが…アイツの住んでるアパート?」
俺は藍花の事を1日観察することにした。
学校が終わり一回着替えに帰りコンビニのバイト。
そして工事現場。
俺は2、3日藍花の様子を見る事にした。
「アイツ…どうして…?ほとんどバイト尽くしじゃん…」
俺は彼女の体を心配した
寝ているのだろうか?
学校のアイツは
元気そうにしているけど
アイツは多分
無理しているのではないかと………
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