第4話 お坊ちゃま
「緒賀本」
担任の先生が帰る前に私を呼び止めた。
「はい?」
「申し訳ないんだが、これを尾田桐の所に帰り寄ってもらいたいんだが…」
「尾田桐 優矢の所…じゃなかった…尾田桐君の所…ですか…?私…知りませんよ」
「緒賀本の住んでいるアパートの通学路に大きい家があるから、すぐに分かると思う」
「…大きい…家…?」
《まさか…あの家の事かな?》
「…分かりました…取り敢えず寄って帰ります」
そして――――
「……………」
思った通りだ。
大きい家だなぁ〜と思い、いつも通る度に思っていた。
まさか…アイツの家…というより…お屋敷?
私はマジマジと見る中、呆然と立ち尽くす。
「ここだよね…?間違ってないよね?」
私は預かり物を渡そうと、インターホンを押そうとした時だった。
高い鉄柵が自動で開く。
「うわっ!自動で開いたしっ!」
すると一台の高級リムジンがゆっくりと私の横を横切り入って行く。
圧倒され、すっかりと見惚れている中、高級リムジンが入ってしまい鉄柵は閉まってしまった。
「あっ!あああっ!!渡しそびれた…」
その直後だった。
「藍花じゃん!」
ビクッ
名前を呼ばれ驚く中、振り返る。
「ビックリした…尾田桐 優矢っ!あれ?あんた車じゃ…」
「車?あー…俺、車は滅多に利用しねぇから。自由きかねーし」
「そう…なんだ…珍しい…。つーか…ここ…あんたの住んでいる家…と言うより屋敷だったんだね…通る度に大きいなぁ〜って思っていたけど…」
「あー…で?何?何か用事?」
「あっ!そうそう。担任の先生から預かり物あって寄ってくれって言われて…」
「それで、わざわざ寄ったと」
「うん。じゃあ、渡したから」
「ああ」
私は優矢の屋敷を後に帰るのだった。
「先程、表にいたのはどちら様かしら?」
「お坊ちゃまのスクールメイトではないかと思われます。同じ制服を御召し物されていましたので」
「優矢と?一般の方ですわよね?」
「はい、そうかと思われます」
「そう…変な虫がつかないように見張っておかなければなりませんわね?」
「はい」
「優矢は、尾田桐家の後継者。きちんとした方がいらっしゃいますから」
「はい…奥様。さようでございますね」
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