ゴシック的描写研究 拾回目

・寝室の血だまりと、納骨堂の白骨が思い出される。


・廃墟の奥処に幽閉された乙女のすすり泣きの声音が、虚ろなムリオン窓の向こうから聞こえる。


・それから寝台、――婚姻の寝台は――インド風のもので、低く、黒い黒檀で彫られ、墓蔽いのような天蓋の下にあった。

(『リジイア』 著 エドガー・アラン・ポー 訳 阿部知二)


・暗くなった視界の中でその小屋の入り口を開けた時、私は祭壇画を開いたような、豁然とした深淵に放りだされたような、空虚な残虐に飛び込んだような気がいたしました。木製の小屋でしたが、噎せ返るような血の匂いと腐臭がその小屋いっぱいに染み込んだようで、足を踏み込んだ瞬間に酸鼻たる、血腥い状況だったのです。


・打ち込まれた釘から食み出す肉片。頭に釘を打たれたことによって飛び出した眼球。千切れそうに微かな悲鳴をあげる四肢。なお凄愴と流れる血潮と脳漿らしき液体。壁と床一面を赤く塗りつぶすほどの乾いた血。・・・地獄でした。

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