ゴシック的描写研究 拾壱回目

・いかにも謹厳な風貌の人物が、燭台の上の蝋から現れたかのように、忽然とその白い肌を露わにした。


・不快な蟠りを嚥下したような錯覚。


・妹の持つ足が姉の部屋の中で狂宴を終えて死ぬと、そこには塔の如く鎮座する硝子匣があった。妹はこの硝子匣に雪消の如く凭れ、愛しげに笑う。すると妹の躰は次第に透過し、鏡のように部屋中を映し出した。


・呪詛を紡ぐように呟いた時、窓の端から控えめに、今宵の月の光が差し込んだ。その光は刹那で部屋の空気を静謐なものに変え、泣いている彼女の眠気を誘う。


・雑誌の中にいる金髪の縦ロール碧眼の少女モデルは、白いレースがそこかしこにあしらわれた半袖のパフスリーブのブラウスの上に、淡い水色の胸の下にリボンの付いたサンドレスを着ていました。腰から下のスカート部分は大きく、まるでロココ時代の貴婦人のドレスのように膨らんでいます。

(『エミリー』著 嶽本野ばら)


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