ゴシック的描写研究 伍回目(単語・語彙編①)

・蹂躙(じゅうりん)・・・・・・・踏みにじること。強大な勢いで他人の権利や、国土を侵害すること。冒瀆(ぼうとく)と似てる。

ex.生を蹂躙され、無残に転がるは死屍累々である。


・荘厳(そうごん)・・・・・・・威圧的・感動的で、そこに臨む人を別世界にいざなう感じ。

ex.荘厳な教会。


・狼藉(ろうぜき)・・・・・・・理不尽に他を犯すこと。暴力。

ex.国の管轄外である路地裏で性懲りもなく横行する狼藉は、止めようにも止められない。


・蠢動(しゅんどう)・・・・・・・蟲が這うように、絶えずもぞもぞとうごめくこと。

ex. 彼女が他の貴族と話しているのを見ると、蠢動が大きく主張を始め、自然とその目は細くなる。


・零落(れいらく)・・・・・・・全盛期を忍ばせる何物もなく、とことんまで落ちぶれること。また、落ちぶれた生活のこと。

ex.今ではすっかり零落した貴族の、廃墟となってしまった屋敷には、陽に焼けもはや益体のない書物の山が、汗牛充棟と積み重なっていた。


・ニヒル・・・・・・・冷たくて、暗い影のあるさま。

ex.風船を持ったピエロが子供たちにそれを配るのだが、私には彼のニヒルな笑みが、どうも恐ろしくてしかたない。


・瀟洒(しょうしゃ)・・・・・・・すっきりと洗練されているさま。

ex.ドレスを身に纏った彼女は清潔感があり、瀟洒な振る舞いは、これから花嫁となる者としてこの上なかった。


・多岐亡羊(たきぼうよう)・・・・・・・どれを選んだらよいのか迷うこと。ニュアンス的には緊急事態時とか、究極の選択に近い。

ex.多岐亡羊の後、彼は自らが彼女の生贄となることを選んだ。


・廓寥(かくりょう)・・・・・・・広いだけで何もなくて寂しいようす。

ex.豪邸に住んでいるというのに、彼女は廓寥に苛まれ、ひどく友達を欲しがった。


・魁偉(かいい)・・・・・・・顔、躰、姿が並外れて大きく、立派なさま。

ex.城の番卒となった男は、筋骨隆々で魁偉な、力強い印象を与えた。

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