第6話 秘薬と悪魔
「家宅捜索に入ったあああ?!」
左沢の叫び声が事務所内に響き渡る。
現在、
「ああ。
左沢が目星をつけた男というのは、
「警察のほうがデータベースもありますし、しょうがないですね」
二条が落ち着いた声でそう言った。
「なにがしょうがないだ」
そう言って左沢は二条に向かってペットボトルを投げた。
「痛いですよ。しかも中身まだ入ってるじゃないですか」
二条は意地でもキレない。どうせ器が小さいとか言われて馬鹿にされるからだ。
「で、どうなったの?その家宅捜索。物は出てきた?」
白衣の男がキャスター付きの椅子にふんぞり返りながら言った。
「ああ、出てきた。物がな。だから逮捕だ」
靭が淡々と事実を伝える。
「嘘だ――――――――――――――!」
左沢はそのまま床に倒れた。
「ただ...」
靭はまだ話している途中だったようだ。この場の全員が靭の発言に注目する。
「発見されたのは覚せい剤。通常の覚せい剤で、‘‘赤りんご‘‘ではなかった。本人も殺人に関しては容疑を否認してる」
その言葉を聞き、ほっとしたのか、いつの間にか左沢はいつもの調子に戻っていた。
「警察は今、血ナマコになって首のちぎり方を探してるんだろうな、ははははは」
「それを言うなら
二条が半分馬鹿にしながら、冷静にツッコミを入れた。ツッコミというよりは揚げ足取りだ。
「うるせぇ!死ね!!!!」
そう言うと左沢は急に立ち上がる。
「影沼!」
「はっ、はい!」
「さっき指示したやつ終わったか?」
「もちろん!終わりましたとも!」
左沢は影沼のパソコンをのぞき込む。パソコンのモニターにはどこかの地図が映し出されている。
「位置情報の解析の結果ですね、ここが有力です」
影沼が地図の一ヶ所を指差す。
「よし、調べてくる」
そう言うと、左沢は荷物を取ってどこかに出掛けようとした。
「あ、待って」
すると、白衣の男が左沢を呼び止める。
「これ持っていってよ」
そう言うと手のひらサイズの瓶を二本取り出した。エナジードリンクの類いに見える。中には液体が入っている。
「なに、これ」
左沢は一つを手に取ると、不思議そうに瓶を眺めた。
「これは僕の自信作でね.....」
「先生の自信作って心配だなぁ」
「人の話は最後まで聞いてよ。でね、それは
「.....うぉぉぉぉお!」
秘薬という言葉を聞き、妙にテンションが上がる左沢を他所に、二条は怪訝そうな顔で二人を見ていた。
「その名の通り製造法は秘密ね。でね、これを飲むとゲームの回復アイテムみたいに体力が回復しちゃうんだよ?すごくない?エナドリとは比べ物にならないよ」
白衣の男はニヤニヤしながら楽しそうに話した。
「すご!絶対使う!」
そう言うと左沢は瓶をポケットにしまった。
「あれ?もう一本も頂戴よ」
左沢がもう一つの瓶に手をのばす。が、白衣の男にそれを阻まれた。
「ダメ!これは後々の体への負荷が尋常じゃないから、一日一本まで!」
「大丈夫大丈夫!俺強いから」
左沢が瓶を奪おうとすると、白衣の男は真剣な顔になったので、左沢は奪うのを止めた。
「マジでダメだからね。だって二本飲んだら死んじゃうんだよ?」
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