第2話

 俺は自転車屋の店長やってる。

 恥ずかしいけど、五十三歳の独身。


 親父がこ延自転車屋をはじめたんだ。

 大学受験に失敗して引きこもり。

 俺が四十一歳の時に、親父がギックリ腰で入院した。だが、そのギックリ腰での入院で、親父は認知症になった。その介護をしていた母ちゃんも介護のストレスから認知症に……。


 ふたりは介護施設へ。

 金は、ふたりの貯金から。

 引きこもからのいきなり自転車屋の店長になった俺は運営が下手なのか、それとも自転車が売れないのか。自転車屋の売上は年間で二百万円ほど。

 自宅と店が一緒なのと、他の店みたく動力とか引いてなかったことが不幸中の幸いだった。


 しかし、正直親父が倒れたあの日から就職活動をしているが、なかなか見つからない。 

 業種を選ばなければ、仕事は見つかるのかもしれない。

 でも、引きこもりからのいきなり自転車屋の店長、という職務経歴書、そしてこの年齢だ。

 仕事の合間や、店の定休日に無理矢理面接を詰め込んでも、ずーっと落ち続けている。


 早く店を閉めたい。

 これから、俺の人生どうなるんだ?


 自転車のギアの整備をしながら、俺は今日もため息をつく。


★☆★Fin☆★☆★

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