第3話

 私たち姉妹の夢は、都内にカフェを開くことだった。

 小さな頃からふたりで、粘土やら、毛糸やら、折り紙、紙コップでままごとではなく、お店ごっこをしていた。

 いよいよ、明日がオープン日!


 高校卒業後、私達は、都内の個人経営のちいさくてお洒落なパン屋さんで働き、コツコツと貯金をしてきた。もちろん店長にふたりの夢を話しながら……。

 そしたら、ふたりでお店がいよいよ開けるまで貯金が貯まったとき、店長から業務提携の話を持ちかけられた。お店のパンを使えば常に出来たてのパンを提供出来るし、身内なので格安での仕入値で、商品提供時間の時短にもなるしらお互いの宣伝にもなる、というのだ。

 本当に有り難く、店長には感謝しかない。


 今日は、昔からの友人と家族のみがお客様。


 インスタグラムやTwitter、Facebook等のSNSもフル活用した。MOS対策もバッチリだ。


 店には、妹とふたりで大好きなYouTuberの曲をiPhoneからスピーカーに繫いでBGMにした。

 でも、YouTuberなのにバズりすぎて、どうやら紅白に出るらしい。


 私達も、このYouTuberみたいにバズって、たくさんの人に来てほしい。

 

 と、言ってもコロナの影響で、ソーシャルディスタンスの事もあって、あまり大きく宣伝出来ないのも現状だ。


 しかし、またGoToが始まる、なんて話も出ている。


 暗いニュースばかり、そして不景気。

 正直言って、休業や閉店に追い込まれている同業者が多いし、この時期に開業する事は厳しい事だ、とわかっている。


 それでも、「いつか」ではなく、始められる時に始めなければいけないと思った。


 私達のお店に来た人が、ひとりでも多く笑顔になれますように。


☆★☆Fin★☆★

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