うき目
眼球が圧迫されて痛いので目を覚ました。身体は仰向けで、天井が見えたので、圧迫されているのは頭の後ろ側の眼球である。
朝食は母と妹とで囲む。この二人はよく動き回るので、背後を歩かれる度に、後ろ側の眼が見つかりはしないかと何度も冷や冷やした。しかし毛髪に隠れている、さらに閉じたままの目玉と言うのは案外気づかれないもので、無事に家を出てから、通学路や午前中の課業をやり過ごしている内に、後ろ側にくっ付いている目玉を見つけられ云々と言う
奇妙な事は続くもので、翌日になると今度は右手の甲に眼がくっ付いていた。
日を
右
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妹が、どうやったか知らないけれど、部屋の戸を開けて、中に入って来たらしい。眠っている顔を覗いて、手を握ろうとするのだから、当然、異変に気付いたのだろうと思う。妹はさめざめと、時折
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何度か眼を閉じて、その度に眼を開いた。母が、今まで一切目を合わせていなかった母が、妹に連れられて部屋に入って来た。妹は其の眠っている
□
また何度も眼を閉じて、おそらく、同じ回数だけ眼を開いたのだと思う。その内、父が妹と母に連れられて部屋に来て、寝ている生物を猟銃で撃ち殺した。生物の亡骸は母に蹴飛ばされた。ぶるぶると身体を震わせて悲しんでいた母に蹴飛ばされた。そして、妹による慈愛に満ちた
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北の空から日が昇り、空が白みがかって、白鳥の鳴き声が透き通るように聞こえた。私たち家族は、四人で、仲睦まじく食卓を囲んでいるようである。父と、母と、妹に囲まれて、化物は笑っている。
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