第18話

 東京、銀座にある、とある高級クラブに、日本のトップが訪れていた。ここは、かなりの額を払わないといけない会員制のバー。落ち着いている雰囲気のお店で、個室もある。著名人が人知れず訪れている隠れ家だ。予約制なので、出入り口でバッタリ会うことはない。店も一流だし、女の子も一流。エントランスへの扉が開き、メインフロアへと続く通路には、美しいワインセラーがあり、天井にはキラキラと光るシャンデリアがある。


「いつもありがとうございますね。山岡さん」


山岡とは、トップの偽名で、ここではその名前で通じている。山岡は、常連で、この店の女将とも親しい。山岡は、必ず個室を選ぶ。このお店は、ドレスコードがあるので、男は全員スーツに身を纏っている。この店の女将は、いつも着物を着ていて、今日は、紫の生地に小さいお花が縫い込まれている上品な着物だ。


「こちらこそ、いつもおもてなししていただいてありがとう」


「今日はね、最近入った子なんだけど、とても可愛くて気立ての良い子がいるの。山岡さん、きっと気にいると思うんだけど、会ってみません?」


「それは興味深いな。是非、その子をお願いしよう」


「承知しました。では、連れてきますね」


女将が個室を出て行った後、山岡はタバコを一つ吸った。タバコの煙が静かにふわふわと上っていく。


「お待たせしました。私、まい と申します。よろしくお願いします」


山岡に挨拶をした女性は、倉敷湊だった。しかし、山岡は絶対に分からないだろう。なぜなら、まいという女性は、ブリーチをし、ベージュで染め、ハイライトにはピンクを入れ、ふわふわに髪を巻いている。目には、かなり大きいカラコンを入れ、つけまつげをつけている。メイクは、可愛い系ではなく、綺麗系。可愛い系の倉敷湊とは大違いの上品な綺麗な女性になっていた。深緑の胸元が開いているドレスを着て、大きい胸を強調している。ドレスからは、白くて細い腕と足が出ていた。


「初めまして。山岡と申します。よろしくお願いします。ここ、座って」


「失礼します」


湊……いや、まいは山岡の隣に座った。山岡の目がまいの胸元にチラッと移る。


「いやー、美人でびっくりしたよ。まるで女優だね。こんな子がいるなんて、今日は良い日だな」


「とんでもないです。でも、そう言っていただけて嬉しいです」


こうして、2100計画第二弾が始まったのだった。

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