第13話
二週間後。
「では、朝日計画を実行する」
「ええー!そのまんまやん!ボスのネーミングセンス……」
勇也がケラケラと笑う。白い歯が反射して、光っている。
「なんでもいいだろ。分かりやすいし」
「じゃ、2100計画は?」
「湊ちゃん、センスいい」
「勇也。それは褒めすぎだ。あまり変わってない。ま、それにするか」
「湊ちゃん採用おめでとうっ!」
「そんなに嬉しくないんですけど」
「よし、では、朝日さんと湊ちゃんよろしくね。今日は二人にかかってるからね」
今日は、朝日、湊二人で、政府の幹部会議に参加する。朝日は、もちろん招待されているので、湊は秘書として参加する。その幹部会議では、「第三次世界大戦計画」についても話し合われるらしい。ついでというよりも、それがメインなのだという。
朝日は、世界最高の既成スーツと称されているスーツを着ている。最高級の素材と伝統的縫製技術を融合させた、羽織るような着心地と特有の色っぽさを合わせ持つ。カシミア本来の光沢と柔らかい肌触りがあり、そこから耐久性も上げてあるスーツ。
革靴は、英国の最高級靴。全体的に程よいボリューム感があり、丸みを帯びたトゥのライン。
ネクタイは、イタリア製で紺地に細い水色の線が入っている。お洒落だ。
湊は、上下紺色の体のラインがよく分かるようなスーツ。湊のスタイルの良さを一段と引き出している。スカートで、足の綺麗なラインも際立っている。白いブラウスを中に着て、黒色のパンプス。目立ちすぎないように、でも、地味じゃないようにが湊のモットー。
二人でタクシーに乗り、政府のお城へ向かう。湊のバックには、いつものように口紅型ピストルが入っている。そして、今回は録音するために、タッチペン型の録音機が入っている。これは、録音した瞬間にその音源がボスたちの元へと届く仕組みだ。
政府のお城へと着いた。二人は、社長と秘書ということで、中に入る。至る所に監視カメラが設置されていた。
「朝日さん、どうも」
メガネをかけた、40代くらいの男が声をかけてきた。身長は175センチと言ったところか。
「これは柳沢さん」
「新しい秘書さんですか?」
柳沢が湊をじっと見る。湊は笑顔で微笑み返す。
「そうなんです」
「可愛いお嬢さんではないですか」
「これがねぇ、仕事もバリバリなんですよ」
「ありぁ、それは私もほしいなぁ。クビになったら、私のとこにおいでね」
幹部会議の部屋の前でそんな会話をしている間に、何人かが部屋に入っていった。湊は、知ってる顔が何人かいた。この国を背負っている人々だ。
幹部会議は、15人だった。この中には、国のトップもいた。秘書の湊は、朝日の後ろの壁側に立つ。タブレットを出し、録音装置がついたタッチペンを出す。そして、スイッチを入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます