第8話

 事務所に着いた。


「おっかえり〜」

勇也が元気よく出迎える。


「どしたん、何か元気なくない?」


「そんなことないよ。それより、例の件、調べてくれた?」


「もちろん。朝日俊の父は、高級官僚で、軍事組織にいたことが分かった。しかもこれを見てくれ」


勇也が一つのデータを見せた。


「この組織図を見ると、朝日の父は、軍事組織のリーダーだったんだ。これはかなりまずい」


「なんで、まずいの?」


「今の日本は、軍事組織の力がかなり強い。アリアンのせいで、国民は何も抵抗しなくなった。そののおかげで、軍事組織がやりたい放題やっている。しかも、今は、軍事組織=高級官僚だろ? 


朝日企業には、軍事組織のお金が流れている。

軍事組織で、怪しい計画が進められているのなら、尚更危ないだろ」


「まず、その怪しい計画とやらを見つけ出さないとね」


「そうなんだ。朝日には必ずその計画が伝わっているはず。もしかしたら、その計画のリーダーなのかもしれない」


「朝日の会社には地下室があった。その地下室にこの間行ったんだけど、一つだけ鍵のかかった部屋があったの。そこが怪しいって、思ってた。そこに何か手掛かりがあるのかもしれない」


「そこには、行けそうなのか?」


「行けなそうでも、やってやるわよ」


「おぉ、さすが湊ちゃんです。いや、ダチュラと呼ぶべきかな」


 湊や勇也がいる組織には、実の名前以外に呼び名がある。



ダチュラの花言葉は、「人をだますかわいさ」



湊は完全にダチュラとなった。湊の心は、ただ一つ。怪しい計画を手に入れることだ。

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