第3話

 倉敷湊は、東京のある場所にある事務所に入って行った。


「任務完了しました」


「おつかれさん!湊ちゃん今日もバッチリ決めたねぇ。ゆっくり休んでねん」


事務所には、ハワイアン柄のシャツに黄色のズボンを履いている男がいた。小諸勇也だ。


「あの男、私の荷物チェックすらしなかったですよ。女を舐めきってますね」


「ま、いいじゃん!あの男はもうこの世にいないんだし!それにしても湊ちゃんは仕事が早いなぁ」


「与えられた任務をこなしたまでです」


湊は笑顔で勇也に答えた。


「あれ、ボスはどこ行ったんですか?」


「あーね、ボスね、買い物行った」


「ええ! 買い物って……勇也さんは行かないんですか!? ボス一人に任せるなんて」


「いいのいいの。社長料理作るの好きだし、自分で買いたいんだと」


「そか。今日のお昼はなに?」


「今日は、カレーライスです!」


「やった!カレーライス好きなんだよね」


 カランコロンとドアの音が鳴る。社長が帰ってきた。両手には詰め込まれた袋を持っている。じゃがいもや人参、肉、たくさんの食材が袋からはみ出ている。


「お! 湊ちゃん! 帰ってたの! おつかれさまでした!」


ボスは、スーツ姿で、身なりを整えていた。


「ボスこそ、買い物おつかれさまです。すみません。買い出し行けなくて」


「俺が行きたいんだから気にしなくていいの! それより、また高級官僚による銃殺があったみたいだな」


「そうなんですよね。これでもデモが起きないのが不思議でしょうがないです」


「そうだねぇ。一般市民の大半はアリアンにやられてしまってるからな」


「抗議する能力なしか」


「また、湊ちゃんにお仕事頼んじゃってもいい?」


「もちろんです」


 カレーライスの材料となるじゃがいもを切りながら湊は返事をした。湊の横で勇也は、サラダを作る。トマトにレタスにきゅうり。そして、青じそドレッシングをかけた。ボスは、湊が切った野菜たちを煮込む。


この3人は料理を作ることにおいてもコンビネーションが良かった。外での仕事となると、そのコンビネーションは、益々良くなるのだった。


3人は、笑い合いながら、仲睦まじく料理をした。湊は、さっき人を殺したとは思えないほどの落ち着きと笑顔を振りまいていた。

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