第2話
今は、2100年。防犯カメラが至るところにあり、国民は国から監視されている。
2030年に、「アリアン」というファーストフードが登場した。アリアンとは、食パンに肉が挟まれているサンドウィッチだ。アリアンは、美味しさと安さから、瞬く間に日本各地、世界に広がって行った。子供も喜んで食べた。
貧しい者たちは、米は買えないがアリアンなら買えるので、毎日アリアンを食べていた。
2070年、小学生の全国学力調査で異変が起こった。平均点がかなり下がり、下位層が増加したのだ。原因を突き止めようと人々は奮闘した。正確に言うと、高級官僚以外が奮闘した。
ある医者が原因を突き止めた。それは、アリアンだった。アリアンには、中毒性の物質と頭を衰えさせる物質が含まれていたのだった。
アリアンを1歳から食べていた人が親になり、子どもを産み、その子どもが小学生になった2070年。アリアンの蓄積は子どもにまで響くのだった。
しかし、この医者の発見はなぜか大々的に報道されなかった。いや、全く報道されなかったのだ。
だから、アリアンを食べる人は、少なくならず、国民の衰えを増幅させた。
2090年には、高級官僚暗殺事件があり、それ以来、高級官僚だけが拳銃を所持して良いこととなった。もちろん、国民の中には反発する者もいた。しかし、その者たちはすぐに逮捕され、永遠に牢獄から出ることはなかった。
アリアンのせいで、貧しい人々と富裕層の溝はどんどん深くなった。
最近は、国に対してのデモはなくなった。抗議を唱える人は、極端に減り、政府がやりたいように国が動いている。
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