結果がすべて

 夜になり、遅い時間が来れば年長のへーちゃんさんが私の作品を読んでくださって、いつもコメントを一言くださる。

「面白かったですよ。工夫した組み立ては興味深いものでした」

 この人に褒めてもらえると嬉しい気持ちが励みになる。早速返事を書きながらこれでも足りない何かがあることを私は知っている。


 すべては結果がすべてで、これを面白いと言われても文学賞の一次通過があり、その先にも残らないと意味をなさないことを知っている。


「祐三君の作風が好きです」

「岸谷さんの作品はとても優しいので癒されます」

 たまに来る読者さん、読み専の方もコメントをくださるとありがたいなと思うと同時に、自分が癒される。心にポッと小さい蝋燭の火が灯ったような感覚に陥る。それで慢心してはいけない。行き当たりばったりの作品が認められるはずなどない。きちんとプロットを書かねばと思えば思うほど、構成があいまいになり、最後は何が書きたいのかわからなくなり、感情描写が甘くなってしまう。

 

 それでも、リアルな感情描写にドキドキしますという感想を読者の方から頂くと涙が出そうになる。この広い日本のあまたあるWEBサイトの中で、まして何万とある作品の中で無名の私の作品を手に取り、読んでくれる人は自分にとって、どれだけありがたい存在であるか。

 岸谷祐三というペンネームにのせて夢を紡ぐ。


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