第8話 守ってあげたい-8
昼休みの音楽の流れる下では、さわがしいお喋りが続いている。各々が自分の弁当を開き、午前中の鬱屈を吹き飛ばすように話し声を上げている。
「やだねぇ、もうすぐ試験だよぉ」
「しかたないって。三年になったら、試験ばっかだよ。今はまだいい方」
「あっ、みゆきちゃん、こっちおいでよ。一緒に食べヨ」
「ありがとう。あの…、中川君しらない?」明智
「なーに、それ?きょろきょろしてると思ったら、カレを探してるの?」
「わー、にくいナ」
「ち、違うわ。クラブの予定を聞こうと思ったんだけど、いなくなったから」明智
「いつも、お昼は部室でデート、なんてね」
「いいな、カレがいる人は」
「あたし…、そんなじゃないわ」明智
「でも、いつも一緒じゃない。ねぇ」
「ねぇ」
「そんな、クラブ一緒だから、だから、つい」明智
「いいって、いいって。いいじゃない、中川君。結構かっこしいいしね」
「頭もいい」
「そう。少ぉしスケベなのが、欠点ね」
「でも、いいわよ。スポーツ万能だし。ちょっと、ワルっぽくって」
「でも、カルイ!」
「そう、不思議な魅力ね」
「あぁ、ミッチ、もしかして中川君のこと」
「何よ、そんなじゃないわ」
「みゆきちゃんと同じこと言ってるぅ、ということは…、やっぱり」
明智はあまりに賑やかな雰囲気に飲まれてしまっていた。どうしてこの学校はこんなのなんだろう、と思いながら、中川がその象徴のようにも思えてくる。
それにしても、中川はどこへ行ったのだろう。
ついさっき授業終了まではいたように思う。もしかすると、いなかったのかもしれない。いつの間にか抜け出していたのかもしれない。それなら、部室にいるかもしれない。
「あたし、部室の方へ行ってるみるわ」明智
「やぁっぱり、オトコの方がいいのね……」
「あたしたちを、見捨てるのね……」
「行っちゃえ行っちゃえ!」
「そんなこと、言わないでよ」明智
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