第3話 守ってあげたい-3
「一年は、何だな、まだガキっていう感じで、もうひとついいのがいないな」中川
「いやいや、コンピュター研の清水…なんていったかな、あの娘はなかなか美少女だよ」新田
「五十六んとこか?いたかな、そんなの」中川
「いるんだよ、これが。そうだ、はるみちゃんもどう?脱ぐんなら、出してあげるよ」新田
「結構です!もう、何考えているんだか」坪井
「男なら誰がいい、はるみちゃん」中川
「どうして、あたしにばっかり訊くんです?純子ちゃんにも訊いたらどうなの」坪井
「そんなぁ、純子ちゃんは、男に興味はないよね」新田
「そう、こんな純真な娘に、そんな失礼なこと訊けないよ」中川
「あたしはどうせ不純です。でも、やっぱり、緑川直樹さんがいいな」坪井
「無難だねぇ。でも、売れるよな」中川
「当たり前だろ。店頭販売でもいけるよ」新田
「甲子園に出る前に、交渉権を獲得しておくか」中川
「いいかげんにしなさい。無駄話ばかりしてるから、話が進まないじゃないの。今日は、何を話す予定なの?」坪井
「そりゃあ、決まってるじゃない、はるみちゃん。次の号外のテーマだ」中川
坪井は呆れて立花を連れて出ていこうとした。
「おい、ちょっと待てよ」新田
「もう、ふたりでお好きなように決めてよ。行こ、純子ちゃん」坪井
二人が出ていくと中川と新田は顔を見合わせてうまく行ったという合図をした。
「さぁ、邪魔者は消えたところで、裏の清算をしましょうか」新田
「そうしましょう」中川
「しかし、中川の本職が探偵だなんて言えないよな」新田
「言えない言えない」中川
「まともな探偵ならいいけどな、こんなことやってるとはな」新田
「失礼な。まともな探偵もやってるよ」中川
「だけどな、けっこうヤバイことの方が多いぜ」新田
「大丈夫大丈夫。それより、また転校生が来るらしいぜ」中川
「また、盗聴か?ヤバイぞ、それは」新田
「今日の二時間目に園長室に来てた子で、女の子。二年だって」中川
「じゃあ、俺らとおなじか」新田
「そう」中川
「何組だ?」新田
「なんとA組。オレんとこ」中川
「かわいいかな?」新田
「それは、明日でなきゃ、わかんねえな」中川
「さすがの中川様も、そこまでは調べがついてないってとこか」新田
「授業を抜け出すわけにはいかねえからな」中川
「この儲けた金でビデオを買って、仕掛けたらどうだ」新田
「おい、それは犯罪だぞ」中川
「今やってることも犯罪だよ」新田
「あっ、そうか」中川
予鈴が鳴って、二人は慌てて片づけをして部室を出た。
* * *
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