贈り物

「お、お清様あの、チョコレートどうぞ……」


 茅場は少し皺が寄った紙の包みを渡す。仄かにする甘い香りから菓子だとは判るが、香りがなければ食べ物かどうかも判断がつきかねた。


「茅場くんが作ったん?」

「は、はい」

「もらわ、おおきに」


 貢物(特に食べ物)は基本断らない清良は包みを開けて、中のチョコレートを一粒摘み口に放る。チョコレート特有の、奥底にほろ苦さを秘めた濃厚な甘さが口に広がる。


「ど、どうですか……?」

「美味しいなぁ」


 ニッコニッコと上機嫌の清良に、茅場はほうと胸を撫で下ろし笑みを浮かべた。


(お清ちゃん、今日バレンタインってわかってるのかな……?)

(まあどっちも嬉しそうだからいいんじゃない?)

(出歯亀してんじゃねーよてめーら……!)

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清良様は興味津々(1/2更新) 狂言巡 @k-meguri

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