貢ぐ

 最近面白い玩具を見つけた。表情がコロコロと変わる、取引相手の囲い女。美人ではないが愛くるしい仔犬のような小娘だ。雌らしく甘味の類がとても好きらしく、よくドーナツやらクッキーやらを食べているのを見かける。

 昨日、後輩の猿楽から菓子を渡されたのだが、モテすぎて一服盛られる事が珍しくない人間が寄越した飲食物はあまり信用出来ない。なのでその菓子をあの仔犬にやったら、それはもう美味しそうに頬張って食べていた。どうやら変なものは入っていなかったようだ。何事もなく完食しきった後に、仔犬は満面の笑みでお礼を述べてきた。どうやら相当美味しかったらしい。

 今度お礼に、おすすめの喫茶店を紹介すると言ってきた。それなりに贅沢させてもらっているだろうに安上がりな子だと思いつつも、彼女とスケージュルを合わせようとする自分が居た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る