絶対に付き合わないループ百合2
私はあの女が大嫌いだ。
スラリとした長身に、爽やかなショートカット。
はつらつとした笑顔で誰とでもうちとける。
本人は気付いていないみたいだけど、男子も女子もみんなあいつに夢中だ。
私は串田くんが好きだった。
だから告白した。自信があった。
ふわふわの天使みたいな私に告白されて、嬉しくないわけがない。
けれど、断られた。
「ごめん、俺、空野が好きなんだ」
その時から、私はあの女、空野が大嫌いになった。
私と空野はクラス内では別グループに所属している。
けれど理系クラスの女子は少ないから、女子全員で一緒に行動することも多い。
私はあいつに意図的に近付いた。それらしい素振りをみせて、気をもたせる。
あいつに頭を撫でられるのはめちゃくちゃ嫌だったけど、そこは演技でなんとかカバーした。
そして一ヶ月後、空野が私に告白する。
私はあいつの自惚れを徹底的に叩きのめしてやりたくてたまらない。どんな言葉で心をずたずたに引き裂いてやろうか、ずっと考えていた。
なのに、あいつは私の返事を聞く前に、時を戻してしまう。
あの忌々しい一ヶ月をなぞって、告白してきて、私が返事を口にする瞬間に、また一ヶ月前に戻る。
それを何度も何度も何度も繰り返す。吐き気がする。
それならば、と最初からあいつを打ちのめす方法を考えた。でも駄目だった。
私は一ヶ月前と同じ自分でいなければならない。少しでも違う言動をしようものなら、あいつはすぐに時を戻すからだ。
最悪最低のバッドエンドを用意しているのに、あいつのお花畑に土足で踏み込んでやりたいのに、私の復讐はいつまでたってもかなわない。
私たちは絶対に付き合わない。
その決定権を握っているのは本来私のはずなのに、あの女は離そうとしない。
同じ時をなぞる。何度も。何度も。
同じ行動を強いられているのに、思考だけは変わっていく。あいつの熱っぽい視線が夢の中でも絡みつく。
この地獄を終わらせる方法を、たぶん、私はわかっている。
だからやっぱり私は、あの女が大嫌いだ。
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