思わず逃げ出してしまった僕は部屋に閉じこもった。外からずっとりくの声が聞こえてくる。みんなが心配して迷惑をかけることくらい予想できていた。でも、もう、みんなに合わせる顔がない。とにかく状況の整理がしたかった。

 僕は、ここの人であり、国の指令で産まれてからすぐ1000年後の地球に移されてそこで存在もしないロボットと生活をしていた。

 受け入れ難いがあの人たちの表情から見ても嘘をついているようには見えなかった。あの人たちは悪くない。悪いのはこんなイカれた計画を実行した国のお偉いさんたちだ。絶対許さない。壊してやる。根っこから。

 「ねぇ、お兄ちゃん、どうしたの?ご飯できたって」

 りくが心配してる。

 「ねぇ、しんどいの?大丈夫」

 ごめんね。お兄ちゃん、悪い人になるよ。

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