誘拐事件

8月15日。僕の誕生日は大体晴れる。やっぱり僕は晴れ男らしい。今日は友達の家に遊びに行く。新作のゲームを持ち寄ってやる約束だ。今年のケーキは何にしようかなと浮かれたことを考えていると突如目の前に真っ白の服を着た男が現れた。

――え…さっきまで居なかったのに…もしかして幽霊なのか…?――

でもその男には足がちゃんとついていた。もう僕は何も考えられなくなった。全身から汗が一気に噴き出る。逃げないと。その思いとは反対に体は重りがついたようにその場に突っ立っていた。助けを呼ぼうとしたその瞬間、男は僕の腕を掴みハンカチを口に押し付けた。そこからの記憶はもう、なかった。

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