一章 百合展開を阻止せよ!
第1話 男ってヤツは
始まりといえば、話の一番重要な部分だ。
ありていに言えば、美女の目元と同じ。
美女を口説きたいのなら、それどこのマスカラ?――とまず聞くといい。
十中八九、ハア?――と返ってくる。ざまあみろ、馬鹿め!
ともあれ、何アレ、始まりが肝心。
ならば、話を始まりに戻すとしますか、プラトン先生。
◇
事件の始まりは、友人のこんなおバカなセリフからだ。
「お前さ、セックスしたことある?」
僕は晴れ晴れとした表情で友人に言葉を返す。
「何をバカなことを……舐めるなよ。僕の童貞力は13万だ」
「ククク……何を隠そう、私も童貞でね」
「それなら、決めるか童貞王! 俺はこの勝負に
「探せ! この世の全てをそこに置いて来た……」
「ありったけの~夢を~!」
こんな風に、男子高校生っぽいアホさを晒しても、誰からも冷たい目を向けられない。
僕とその友人……
だから、旧校舎の部室棟2階、一番奥の空き教室を占拠した。
もちろん、合法的にだ。
この部屋を手に入れる為、僕らは芸術映画同好会という仮の名を名乗り、生徒指導のハゲ谷先生、俗にいう
まあ、実際に映画を見ているのだから、映画同好会というのも嘘ではないが。
「で、次何見るんさ? 譲二」
「ドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク版)」
「好きだなーそれ。それ見てからあのチェーンソー買ったんだもんな。部室でひと際、場所取ってんぞアレ」
「アレはな、いつか車の中で振り回したいと思って、持ってきたんだ……」
「映画みたいにか? 頼むから誤爆すんな?」
僕らが占拠した空き教室(僕らはセーフ・ルームと呼んでいる)には、奇妙な獲得品がたくさん置かれている。
僕や、秋が面白い
部室のドアに掛かった、水色のドリームキャッチャーもその一つである。
「前々から思ってたんだけど」
「うん」
「この中心の石、魔法陣みたいな印が中にあるよな」
「知らない。それ、“魔女の家”にあったヤツだし」
「あぁ、あのゴミ屋敷か。て、入ったのかよ?」
「うんにゃ? たまたま前通ったら、投げつけられた」
「誰に?」
「住んでる婆さん」
「魔女本人か……」
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