第22報

 大火山の中心部。

 ユーグに魔王の魂を再度封印することを依頼されたフリルは、着いてこようとする他三人を置いて、目的の場所へと向かっていた。


「ドラゴンが入れない結界か。やっぱりアイツ、封印に魔力を流すことを怠っていたな。封印が弱まっている」


 火山の内部は、意外にも人工物のような様相を呈していた。

 火山岩を階段上に掘り出したような構造、底の方ではマグマが沸たぎり、魔法なしでは生物すら生存不可能な空間である。

 しばらく進むと、やがて祭壇のような空間が現れる。


「魔法行使できるくらいだから、受肉しているのではないかと疑っていたが、これなら大丈夫みたいだ。」


 暗い洞窟。例えるならそれが一番近い。

 その中心に向かうにつれ、青い炎を灯すランプが並べられており、その奥に祭壇があった。

 その中心に、象徴するように水晶が置かれている。


 ――六つある灯が一つ消えてる、何年サボったらこうなるんだ。たく、一週間俺たちを拘束したのもこれをどうにかできるか見定めるためだろうな。


 内部を見渡していたフリルの前に、スッと揺らめく炎が現れる。

 蒼く淡いそれは、フリルの前に現れた瞬間に、膨張し、内部から黒い炎を放った。


「魔王の魂のカケラ、まぁでも、これくらいなら大丈夫だろう」


 フリルの魔法障壁は、龍王ユグドレイシルの攻撃すらいなす。

 総身を焼き尽くさんとする炎を直にうけ、それでもなお焦げひとつないフリル。

 は、動揺するように揺らいだ。


 フリルは、歩を進め、真っ直ぐに手を伸ばす。


「危険度で言えば、下位ドラゴン程度か。Aランクが急募されるくらいかな」


 手に力を込めると、それは空気に溶けるように霧散した。

 完全に消えたのを確認すると、フリルは消えた灯に近づき、魔力を流した。


「よし、これで完了か」






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