第2話・隣国

華神かがみ町、壁一枚でしか隔てるものが無いにもかかわらず影神町とは全く違う町である。

まず目に入るのが

こちらの国では、木や川など自然から出る魔力を使い、様々な事をしている魔法使いの国である。

魔法使いといっても、ある程度の知識を手に入れれば簡単に魔法は使えるので、誰でも魔法使いにはなれる。

才能の差は激しいようだが。

けれども便利である分、相手や自分を傷つけたりしてしまうこともあるから、星京国では魔法の使用が厳しく管理されていて、こちらよりかは便利さが欠ける。しかし、魔法の才能が乏しい人には楽に仕事が見つけやすいから、魔法の才能が無い人の就職などが多い。

自然豊かな街中を歩いていると、道の隅に人が一人入れるくらいの段ボールが落ちていた。

ゴミなどは環境の保護のため特定の場所に置く決まりがあり、それを破ると厳しい罰金などがある。

けれども、人目のつかない所へのポイ捨てが増えただけで効果はそれほどなかったようだ。

(ダンボール、机にはなるが……。いや、まだ野宿するとは限らないし……)

そう思っていると、段ボールの方から寝息が聞こえた。

つい反射的に見ると、薄紫色の髪をしていて前髪だけ濃い紫をしている少女がすぅすぅと体を丸めて気持ちよさそうに寝ていた。

魔法というまだ未知数の力がほぼ自由に使えるからと言って、道端で寝ても大丈夫なわけではない。

どうしよう、起こそうかそのままにして先を進むか。

「「う~ん」」

あれ、なんか声が重なったような……?

おそるおそる段ボールの方を見ると、さっきまで寝ていた少女が起きていた。

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神と旅と少年と 秋猫シュガー @sikiaki22

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