なんだかなー?

シオンが驚きの余り目を廻した所で変身が解けた。


ボッーーーーン!!!!!


「あら?」

「戻ったか?」


シオンが元に戻った所で、シオンはますます縮こまった。


「あの!すみませんでした!!!!!」


突然謝るシオンに首を傾げるミルク姫。


「何故謝るのですか?」

「えっ、だって変身して不審人物………」


シオンの言葉を遮るように王子がいった。


「大丈夫だ。社を直して冥土神様の加護を頂いた心優しいシオンを不審者扱いなど出来ないよ。私はシオンを守る為に来たんだ」


まぁ、いけしゃあしゃあと言うものですね!ミルク姫がイケメンモードの兄を見て軽くため息を付いた。


「お兄様!私は冥土神様の事を聞いていませんわよ!」


言い寄るが、王子はサラッと謝った。


「んっ?そうだったか?それはすまなかった。それより冥土神様ですね?お会い出来て光栄です」


このっ!自分をのけ者にして、自分だけ挨拶しやがりましたわ!ミルク姫は腹が立ったが、それよりも神様が顕現されていては、先に礼を尽くさなければならなかった。


「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。冥土神様?でしょうか?私はこの国の姫でミルク・バストでございます!」


綺麗にカテーシーをして冥土神に礼をとる。


『よい!先ほどのシオンに自己紹介したとき聞いておったわ。それより、我が大切な信徒であるシオンを守って欲しい。今の我には力が足りぬ。久しく無かった大事な者なのじゃ』


神様直々にお願いされては断れない。いや、断る理由がない!


「無論です!このような寂しい社を直して、人知れず祈りを捧げる心優しいシオンを、私が(生涯)守ります!」


キリッとした笑顔で冥土神に約束をする王子だった。実にあざとい!シオンの前に冥土神の印象を良くしようという魂胆である。


「そんな!私なんてただの侍女で守って頂けるほどの者ではありません!」


「何を言っているんだい?シオンは神様を復活させた立役者じゃないか?しかも冥土神様は位の高い上級神でもあるのだよ?その力を失った神様を復活させて、その【使徒】となったシオンは一国の王子より価値が高いんだよ?」


ええっーーーーー!!!!!マジですか!!!?


「まぁ!冥土神様の加護持ちなんですの!?」


ミルク姫も驚きの声を上げた。自らの力を分け与えることで、人間にとんでもない力を与える加護持ち………余程のことがないと神様は加護を与える事はないのだ。


ここでミルク姫は脳内で電卓を叩いた!


『なんてことですの!?私を救ってくれた素敵なお姉様が加護持ちだなんて!しかも、城内に神様を復活させたなんて勲章ものですわ!そうなるとお兄様の妃にもやぶさかではありませんわね?そうすれば本当のお義姉様に…………』


ミルク姫の中で、お姉様(シオン)に甘える未来を夢見て口から涎が溢れた。

ぐふふふっ♪


「そういえば、シオンはどうして変身出来るのですか?」


『それは恐らく加護を与えた後遺症じゃろう。我の神気が、体内で循環しきれてないのではと思う。身体に馴染めば変身時間も長くなるじゃろうて』


ミルク姫とシオンはおおっ!と歓喜するが、王子は内心でチッと悪態を付いた。


『まぁ、我も初めての事なので正確にはわからん!このまま消えてしまう可能性もあるじゃろう』


ガガッーーーーーン!!!!!


二人は絶望の余り、両腕を地面に付いた。王子は表情をそのまま内心でよっしゃーーー!!!!!と歓喜の余りシャドウボクシングを心の中で行っていた。


「冥土神様!それはダメです!歩きスマホするくらいダメです!!!!!」


二人の気迫に冥土神はタジタジになって後ずさった。


『いや、すまんがそれはシオンの問題で我も確約は出来んのじゃ!出来る限り協力するので睨まないで欲しいのじゃ………』


あっ、冥土神様がいじけた。


「はぁ、シオンはともかくミルク!冥土神様に無礼だぞ!」


兄に叱られ、シュンとしたが、シオンを見て良いことを思い付きニンマリした。


「シオンは国の重要人物になったのですから、下級侍女から私付きの侍女にするのはどうかしら?」


名案とばかりに両手をパンッ!と叩きシオンを見つめた。


「いや、それなら私の侍女に相応しい。王太子である私にちょうどよい者を探していたのだ」


バチバチッと兄と妹はメンチを切りながら火花を散らす!


「えっ!?えっ!?」


1人シオンは状況に付いていけず、あわあわしていた。


「取り敢えずこの話は後でじっくりとするとしよう」

「ええ、そうですわね。冥土神様とシオンの前で醜い争いは不粋ですわ」


プルルンッとミルク姫は巨乳を盛り上げるように腕を組んで譲渡した。


「あ、シオン!これを渡しておくよ」


前々から用意していたネックレスを渡した。首から丸いペンダントが付いている。


「これは王族専属の侍女の証だよ。それを見せれば大抵の場所に入れるし、それなりの権力も示せるからね」


「えっ!そんな重要な物を私に?」


苦笑いしながらチチスキ王子は答えた。


「もう少し自分の現状を知って欲しいかな?それにシオンはモテるからね。虫除けにもなるからね」


???


「御言葉ですが王子様、私はこれまでモテたことがありません!」


王族に対して不敬ではあるが、シオンはプクーと頬を膨らませて拗ねるようにいった。




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