第3話 カレーに生卵入れたヤツ出てこい!!No.2
教室は後ろの席から埋まっていて、僕が来た時には前の席しか空いていなかった。
仕方なく前から二列目の席に座った。
席に座ると早々に、隣の人が話しかけてきた。
「おはようございます。どちらからいらしたのですか?」
第一印象は真面目な優等生、と言ったところだろうか。
ピシッと七三分けに紺色のジャケットは如何にも大学生。
いや、どちらかと言うと就活生みたいな感じだ。
「神奈川の熱海から来たんだ。今はこっちに越してきて一人暮らししてるんだ。
あと、敬語はいいよ。同じ一年生だろうし、よろしく。」
「そうだね。よろしく石井義博だ」
「石井君よろしく。僕は西谷陸斗。陸斗って呼んでよ」
「あーあー、ここは経営学入門Aの教室です。間違っている学生はいませんね」
教授がマイクを片手に言った。
「陸斗。二限空いてる?もう少し話がしたいからさ」
「ああ、僕も話がしたいと思ってたよ」
「以上です。本格的な内容は来週からなので、予習しておくように!」
授業は10分前に終わり、僕と石井君は教室近くの円形テーブルに腰を掛けた。
「陸斗はさ、サークルとか部活って決めた?」
「まだ全然。今朝の勧誘なんか全部断っちゃった。石井君は決まってるの?」
「決まってる」
「どこどこ?」
「陸斗の好きなものって何?」
「え?まあ、そうだなぁ…ソシャゲとか将棋、それとメシかな」
「よし!陸斗も一緒に作らないか!」
「作るって何を?」
「サークルだよ!」
「サークル?」
「そうだよ!自分が作りたいサークル。その名も美食倶楽部だ!!」
石井君が熱く名乗りを上げるものだから、周りの学生の視線が集まる。
「石井君少し声のボリューム下げてくれよ。少し恥ずかしい」
「ごめんごめん」
「それで、美食研究会って何をするんだ?」
「それはもちろん世界中のありとあらゆる料理を食べて、よりおいしい食べ方を探求するサークルさ!」
「そうか」
「うん、どうかな?一緒に作る気になった?」
「面白そうだけど、もう少し考えたいかも」
「それならさ、ちょうどお昼の時間だし、食堂行こう!そこで美食倶楽部の第一回目の活動ってことでさ!」
「うーん……。いや、そうだな。行こうか」
僕は石井君に押しきられ食堂へと向かった。
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