第2話 カレーに生卵入れたヤツは出てこい!!No.1
「ヤバイ、ゆっくりしすぎた」
朝食を堪能した僕は駆け足で大学へ向かう。
構内に入ると人がごった返していた。
「君、新入生だよね!テニスサークル興味ある?よかったらこのパンフ持って行って!」
「すいません。僕授業があるんで、後で話を聞かしてください。」
まあ、聞く気はないのだが…
こんな具合でサークル勧誘の嵐を何とかやり過ごして、3号館の中に入った。
館内は外と違って静かだ。
「授業の教室は確かに三階だったかな」
エレベーターを使うか迷った。しかし、授業前ということもあり、混んでいたように見えたので階段で上ることにした。
階段を数段上ると、前から二人の女性が話しながら降りてくる。
髪の長い女性と短い女性だった。その時はそれくらいにしか感じなかった。
僕は彼女たちとすれ違う瞬間に、髪の長いの女性のカバンから何かを落としているのが見えた。それを
「すいません!これ落としましたよ」と声を張った。
二人は振り向き、髪の短い女性が言う。
「ありがとう。でも、これマヨネーズ?私のじゃないから、七海の?」
驚いた。
すぐさま拾って声をかけたので、これが何なのか全く見ていなかったが、
これは紛れもなくマヨネーズだ。
人差し指ほどの大きさのチューブで「ミニマヨネーズ」と書かれたラベルが貼ってある。大学に似つわかしくないマヨネーズという存在に、僕の頭の中は疑問符でいっぱいだった。
「私のでもないわ。大学にマヨネーズなんて持ってくる人はいないでしょ。」
髪の長い女性はそう言った。
「え?でも君のカバンから…」
「すいません私たち急いでるんで。行こう、ゆうちゃん」
僕の話をバッサリ切って、彼女はそそくさと立ち去った。
もう一人の彼女も僕に向かって小さく礼をして、待ってよと言いながら追いかけていく。
僕は「ミニマヨネーズ」を手にしたままぼーっとしている。
「なんだったんだ」
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