第3話


まず最初にタイーダさんに教わった事はギフトと呼ばれる神より授かった異能の力についてだった。


 最初は半信半疑だったが、あまりにも真剣に伝えられた事で信じてしまった。


 日本にだって幽霊が見える人だったり気が使える人だったり不思議な人ってのは少なからず居た。だったら日本じゃ無いこの地では本当にそういうものがあるのかもしれないと思ってしまったのだ。


 そしてタイーダさん曰くギフトってのは突然降りてくるらしい。


 本当に唐突で中にはトイレ中に気張っている最中であったり、就寝中であったりもするらしい。


 そしてギフトは降りてきた瞬間にある程度出来る事が理解出来ているという。


 だからこそギフトは神によって齎されるというのが一般的だと言う。


「ちなみにギフトってのは基本的に他人には教えない。ギフトってのはそいつ自身の切り札であり最後の砦でもある事が多いからな。だからこそお前の初見の反応は正しい。だが、本当にギフトについて忘れているとは思わなかったがな……わざわざギフトについて教えるのなんざ自分の子共ぐらいだと思っていたが……まぁ良い!ギフトについて忘れていたという事は元々ギフトを持っていなかったと仮定してこのまま話を進めさせてもらうぞ」


「はい!お願いします!」


 屈辱的だが今はこの女に逆らうのは得策じゃ無い事ぐらいは馬鹿な俺だって分かる。


 今は精々調子に乗ってると良い!そのうち俺がギフトを得たらこんな女に従う必要もなくなるさ!それまでの我慢だ!龍司!


「でだ……今後のお前の身の振り方には二つある。一つはこのギルドの事務職員として事務職に必要な事を覚えながら雑用をするか戦闘班に入って戦闘技術を磨きながら雑用するかだな……どうする?」


 タイーダさんの鋭い眼光に気圧されながらも馬鹿な頭を振り絞って色々と考える。


 事務職ってのはもちろん、ギルドを運営するにあたって必要な事務作業の事だろう。

 事務職員であれば恐らく身の危険などは無くてぬくぬくとした環境で安全も保障されると思う。


 そして戦闘班という物騒な名前の班だときっとキツイ汚い臭いの三連コンボが待っている筈だ。

 だが戦闘班で頑張って強く成れば色々と都合が良いかもしれない。日本に帰った時にこれまで俺を散々馬鹿にしてきた奴らを見返す事が出来るかもしれないし、強い男ってのは女にモテると聞いたこともある。


 俺だって思春期真っ盛りだ、彼女の一人ぐらいは作ってみたい。


 そんな欲望に塗れた事を考えていると俺があまりにも悩んでいるのが鬱陶しくなったのかタイーダさんがまた口を開いた。






















「良し!お前は事務職員見習いとして事務職を覚えろ!住む場所も用意してやる!少ないが多少の給料も払う!精々頑張りな!」


「あっはい……」


 有無を言わさぬ圧で俺の口は自然と返事を返していた。












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起きたらタイーダの酒場とかいう所に居た きゅーびー @kyubiqb

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