第26話「学園祭はハラハラドキドキ?第3夜。」
刻一刻と時間が迫り、文化祭まで残り1週間となった。昂大は下校しようとした所、田川先生に呼び出され職員室へと向かった。
「なんですか?用って。」
「まぁ、座りたまえ。」
昂大はソファーに腰をかけた。田川は煙草を口に咥え一服した。
「最近妙な噂が飛び交っているんだ。そこで、真偽を確かめるために少し聞きたい。有希子に愛想を尽かしたそうだな。」
「誰情報ですか?」
「誰でもいいだろう。それよりどうなんだ?」
「今でも有希子は好きです。ただ接し方に困ってるだけなんです。」
「接し方とは?」
「今まで俺たちは幼なじみという関係にあった。でも、彼氏彼女の関係となった今、どういうふうに接すればいいのか分からないんです。」
「別に有希子に興味が無くなった訳では無いんだな。」
「有希子に愛想を尽かす事なんてありえません。あんな魅力的な女性を前に感情を持たない男など人間じゃないです。」
「そうか。これは個人的に興味があるのだがもし一夫一妻制に戻ったらどちらを選ぶんだ?」
「有希子です。」
「なぜ?」
「俺の隣にはいつも有希子が居た。だから今度は何があろうとも俺が有希子の傍にいるべきだと。」
「なるほど。君なりの考えなんだね。」
「はい。」
田川は再び煙草を咥えた。
「一花は女優だ。君が有希子を選ぶなら一花は芸能界にいられなくなるだろう。強制わいせつを犯した大女優というレッテルが貼られるだろう。今は一夫多妻制だから大丈夫だが、元に戻った時の彼女への考慮と周囲の対策を考えておくんだな。」
「はい。」
「君も一服するか?」
田川は昂大に煙草を渡した。
「未成年ですので遠慮しときます。」
「ちゃんとNoが言えるなら大丈夫だな。」
田川は笑いながら渡した煙草を戻した。
「それでは失礼します。」
昂大が職員室から出ると別の扉から有希子が現れた。
「聞いての通り、君を選ぶようだ。」
「よかった。」
有希子は安心したのか一息つきながら胸を撫で下ろした。
「あまりハメを外しすぎないようにな。」
田川は車の鍵を取り出すと職員室を出て行った。昂大が下駄箱に行くと一花と有希子が待っていた。
「どうした?」
「久しぶりに3人で帰らない?」
有希子が顔を赤らめながら言う。
「あぁ。」
「えぇ。」
3人が手を繋いで帰ってるところを生徒会室の窓から眺めていた者がいた。
「羨ましいな。」
七海だった。
「私どうしたらいいんだろう·····。何で無謀な恋しちゃったんだろう。」
七海の目から雫が流れ、夕日が目を赤く染めた。
第26話「学園祭はハラハラドキドキ?第3夜。」~完~
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