第22話「昂大の思い。」

ゴールデンウィークが明け、昂大たちは学校の行事の1つ遠足を行っていた。遠足の目的地は動物園だ。

「昂大。一緒に行こ?」

「いいぞ。」

昂大は有希子と一花と一緒に園内を回った。動物と触れ合ったり観察していると、いつの間にか昼になっていた。

「少し休むか?」

「えぇ。」

3人は近くにあったベンチに腰を下ろした。有希子はチャンスだと思い、問うた。

「ねぇ?少し聞きたいことがあるの。」

「なんだ?」

有希子は昂大をじっと見た。昂大は恥ずかしさのあまり顔を逸らした。

「昂大は私たちの事信用してる?」

予想外の質問に思わず昂大は、有希子の顔をじっと見つめた。答えるのに少し戸惑ったが口を開いた。

「信用してる。」

「本当に?」

「あぁ。信用してなかったら彼氏彼女の関係にはならないぞ。何かあったのか?」

「あるよ。昂大は何で私たちを頼ってくれないの?一花凄く心配してたよ。」

「そうなのか?」

昂大は一花を見ると、一花は昂大を見つめ返した。

「当たり前よ。あれだけの量をこなして、いつ倒れるか心配してたの。」

一花は人目を気にせず抱きついた。

「おい、他の人が見てるぞ。」

「別に構わないわ。私はあなたの力になりたい。あなたの傍にずっと居たい。だから手伝わせて。」

昂大はバックからパソコンを取り出した。

「俺がやってる事だ。」

パソコンには学園祭の内容がぎっしり詰まっていた。

「こんな量を1人でしてたの?先生がやるやつまであるじゃん。」

「こっちに全部丸投げされた。」

「他にもあるの?」

「あぁ。こっちのスマホに他のデータと連絡先。学校にもまだ他の書類が残ってる。」

尋常じゃない程の量に2人は驚いた。

「本来なら君たちに頼りたかった。けど、頼れば君たちが体を壊すかもしれない。だから俺は頼らなかった。」

「そっか。私たちを心配してのことなんだ。」

「あぁ。2人が俺を助けようと思ってくれたことは感謝する。でも、俺は大丈夫だから。」

「あなたの負担を減らすためにも、少し書類を渡してくれるかしら?」

「ありがとう。明日には渡しておくよ。」

「約束よ。」

3人は指切りをすると、再び園内を回った。

第22話「昂大の思い。」~完~

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