第21話「会長は大忙し。」

昂大の死者が出るという発言に校長は大いに怒った。

「歌声で死者が出るはずがなかろう。ワシを馬鹿にするのも大概にせい。」

「入学式で何人の生徒が病院送りにされたと思ってるんですか。後遺症が残ったらどうするんですか?」

「あれは根性なしなだけだ。ワシは歌うぞ。」

「だったら自分の歌聴いたらどうなんですか。」

校長が歌うのを耐えなが録音して聴かせた。

「なんじゃ、この世とは思えない雑音は。」

校長は自分の歌を聞くと急に吐き気がしてきた。

「だから言ったじゃないですか。」

「確かに人命に関わるな。しかし、わしの代役が。」

「それならいるじゃないですか。遥さんが適任かと思います。」

「あの元子役か。しかし、断られたら。」

「その時のために、これを用意してきました。」

「なんじゃね?その書類は。」

「統計データです。その場合は地域の方をお呼びしてステージに立って演奏をしてもらうんです。」

「なるほど。両方OKだったら両方にやってもらおう。しかし。」

「両方ダメだったらその時はウチのバンドに出演してもらいましょう。」

「そんな者がいるのかね?」

「この奥田美咲という人に頼みます。彼女はバンドをやってるそうです。」

コンコン。ドアをノックする音が聞こえた。

「どうぞー。」

「失礼します。」

「おぉ。奥田さんかね。ちょうど君の話をしているところなんだよ。」

「私ですか?」

「奥田さん。君に頼みたいことがある。」

「彼女になってくださいですか?」

「生憎彼女はいるからその話はないな。君にバンドで出演してもらえないかと思って。」

「私でよろしければ出演します。でも、私と遥だけなので。人数が足りなくて」

「分かった。生徒会に今から来れるか?」

「はい。」

「では校長。これで。」

「うむ。所で奥田さん。私に何か用かね?」

「教頭先生がお呼びです。」

「忘れておった。ではこれで。」

奥田は生徒会室に行った。

「こんにちは。」

「あら?みーちゃんじゃない。」

「何でハルルもいるの?」

「私は生徒会のお手伝い。みーちゃんも?」

「うん。バンドで出ないかって。」

「成功したのね。」

「あぁ。」

昂大と有希子はグータッチをした。

「そういえば生徒会もバンドを組むんだよね?」

「当日限りだがな。」

「てか、あんたら楽器できるわけ?」

「ウチは何も出来へんで。」

「俺と有希子は一通り出来る。」

「私はベースができるわね。」

「へー。」

「とりあえず実行委員会を決めるか。」

会議を行った結果役職はこうなった。

実行委員長 藤堂昂大

副委員長 白咲一花

書記 雪村有希子

会計 加藤遥

その他 HR長・副HR長・各クラス二名

ボランティア

「では今日はこの辺で終わろう。」

「せやな。」

「各自で内容の整理をしておくように。」

委員会が終わると昂大は次の仕事に取り掛かっていた。

「何してるの?」

一花が覗き込む。

「遠足の場所の手配だ。」

「ご苦労さま。」

そう言うと一花は昂大の肩を揉んだ。

「ありがとう。気持ちいいよ。」

「マネージャーに教えてもらったの。」

「そうか。少し席を外すよ。」

そう言うと昂大はどこかに電話をかけた。

「大丈夫かしら。」

「何が?」

有希子が一花を見ると一花はどこか悲しげな表情をしていた。

「私が見た本で彼と同じような人を見た事があるの。」

「どんなの?」

「私たちに助けを求めず全部一人でやって熱を出した人とか、頑張りすぎて倒れて救急車に運ばれる人とか。」

「全部昂大に当てはまるね。」

「だから心配なの。」

《彼とは付き合ってるけど、彼が本音を言うのは深夜だけ。本当に私たちのことを信用してるのかな?私が強引に行ったから申し訳ないから付き合ってるのかな?》

第21話「会長は大忙し。」~完~

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