第15話「恋をしちゃっていいですか?」
食事を終えたあと有希子は、荷物をまとめに一旦家に帰った。その間昂大は、テレビの前で野球観戦をしていた。
「しゃー!」
昂大が喜んでると
「おっ、勝ってるようだな。」
酔った父親がやって来た。
「ついに昂大にもお嫁さんができたか。なんか意外だな。」
「まだ彼女の段階だ。てか、なんで意外なんだ?」
「お前が有希子以外の女子に心を許すとは思わなかったからな。それが意外でならないんだ。」
「俺はそこまで人間不信じゃないぞ。」
「それはあくまでも人間としてだ。他の女性を異性として見るのは、ありえなかったからな。」
「まぁな。」
「2人を大切にするんだぞ。」
父親はそう言うと出ていった。野球中継が終わると昂大は、風呂場へと向かった。昂大はシャワーを浴びていると、扉が開く音がした。
「その·····一緒に入ってもいいかしら?」
一花だった。
「別に構わん。」
そう言うと一花は恥ずかしそうにこちらに来た。
《言わなくちゃな。》
「その·····一花。お前に俺は答えを言ってなかったな。」
「えぇ。」
「有希子に対しては好きという気持ちは俺でも分かった。でも、一花に対してはよく分からなかった。」
「そうなの·····。」
「でも、一花が俺を好きと言ってくれたことに驚いた。女優から一般人に告るなんて滅多にないからな。ましてや、会ったのはあのインタビューの1回だけ。」
「他の日も会ってるわよ。」
「え?」
昂大は驚いた。
「七海と有希子と3人で遊びに行ってる時も私隣にいたのよ。」
微笑みながら言う。
「隣ってまさかあの子?」
「そうよ。すごく地味な子。」
「七海は知ってるのか?」
「知らないわよ。だってあの子の名前はハルカで私とは別の存在だもの。」
「一人二役ってか。さすが女優だな。」
「有希子という女性がいながら私を気にしてくれた。ハルカとは認識のない赤の他人なのに気にしてくれることが私があなたを好きになった理由よ。」
「そうか。俺はこういう感情がよく分からない。だから行動で示す。」
そう言うと昂大は一花に抱きついた。
「君に恋してもいいですか?」
第15話「恋をしちゃっていいですか?」~完~
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