第14話「デレはいかが?」
幼なじみの有希子と、女優白咲一花との交際宣言は家族を大いに驚かせた。
「有希子ちゃんとはいつかはなると思ったけど、まさかあの白咲一花とも恋人関係になるなんて。しかも2人と交際とは·····お父さんのせいだね。」
「なんでだよ。」
「で、どうするの?3人の交際認めるの?私は別にいいけど。」
「うむー。ちなみにその·····エッチはしたのか?」
「ちょ、お父さん。そんなこと聞いたら失礼でしょ。」
遥は父親を睨んだ。
「はい。」
「え!?」
2人の返答に辺りは凍りついた。
「有希子と?」
「有希子とは、まだしてない。」
「まさか女優とやったの?なんで?」
「それは·····。」
一花が本当の事を言おうとすると昂大はそれを遮った。
「あまりにも一花が綺麗だったから、我慢できなかった。」
それを聞いた姉たちは笑いだした。遥は一花の耳元で、
「意外と性欲強いんだね一花さん。」
と、囁いた。それを聞いて一花は顔を真っ赤にした。
「姉さん。まさか疑ってるのか?」
「あんたがそんなタマじゃないことぐらい分かってるから。ウチらの思う女優白咲一花を壊したくないからそういう嘘をついてんだろ?」
「だから·····そんなんじゃないって。」
「はいはい。そういう事にしとくか。で、お父さんは3人の交際認めるの?」
父親はしばらく考えた。
「一花さんと有希子さん。私のせいで1人に絞れなかったウチのバカ息子をよろしく頼む。」
と深々と頭を下げた。
「有希子。家柄のことは私に任せて、3人仲良く暮らすんだよ。私は祝い酒を持ってくるとしよう。」
有希子の父親はそう言うと、玄関を出た。
「祝い酒か。楽しみだな。」
「メインは3人だからな。」
美和が父親を睨んだ。
「そうだ、せっかくなんだし家を案内するね。」
そう言われ2人は姉の遥と共に見て回った。美和と真希は、昂大の隣に座った。
「昂大。嘘が下手だ。飲んだくれは騙せてもウチらは騙せないよ。」
「何を?」
「あんたからやってない事ぐらい分かるって。」
どうやら彼の嘘は3姉妹に見破られていたようだ。姉たちによる質問攻めに耐え抜いた昂大は自分の部屋に入り、ベットに倒れ込んだ。
「そういえばちゃんと答え言ってなかったな。」
そのまま目を閉じるといつの間にか眠りについてしまった。
「昂大起きて。」
目を開けるとそこには一花が居た。
「なんでここに綺麗な天使が居るんだ·····。」
一花は顔を赤らめながら、
「寝ぼけてないで起きなさ·····。」
昂大は無意識のまま一花を抱きしめた。
「ちょ·····。」
「落ち着く。」
「え?」
「温もりを感じられて落ち着くんだ。このまま居てくれないか?」
「だからって抱きしめなくても·····。」
「やっぱ君は綺麗だ。」
昂大は一花の髪を触り、深いキスをした。
「ちょっ。」
「ぐー。」
《キスをしたまま寝てしまったわね。》
「いいなー。」
有希子と姉がニヤニヤしながら見ていた。
「見てたの?」
一花は顔を赤らめながら言う。
「デレ大はどうだった?」
有希子がニヤニヤしながら言う。
「デレ大?」
一花は首を傾げた。
「寝起きは低確率でデレ状態になる通称デレ大。有希子の時よりデレが強めだな。」
「そうなんですか?」
「あぁ。あそこまでデレるとは完全に一花さんに惚れてるな。そうだ有希子ちゃんと一花さん。今晩昂大と一緒に寝なよ。」
「ちょ。遥姉さんそれは危ないぞ。」
「?」
有希子と一花は首を傾げた。
「あいつが1番デレるんだ。それはそれは可愛いくて仕方ないぞ。もう食べたくなるような可愛さだ。」
「ふぁぁ。」
昂大は完全に目が覚めた。
「なんで俺の部屋にいるんだ?」
「ご飯の準備が整ったから起こしに来たのよ。」
「なんか俺変なことした?」
「変なこと?」
「なんでもない。」
《大丈夫のようだな。》
《何安心した顔してるのよ。まさかデレ状態は無意識なの?》
第14話「デレはいかが?」~完~
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