第4話「入学式」
「入学式」それは新たな出会いであり学業の始まりでもある。クラスはA~G組に分かれており昂大はA組のクラスだ。黒板に入学式の席順が貼られた。
「ここでも隣になるとはね。」
「小中の時もこうだったよな。」
「えぇ。入学式と卒業式も隣を歩いたし席替えをしても必ず隣にはあなたがいた。」
「運がいいのか悪いのかよく分からん。」
「ホンマやで。東の大学付属高校って名前やったのに来たらハーレム学校って名前やし。久しぶりにイチャつくところ見れるか思たらまだそんな段階やないし。」
聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
「久しぶりやな。覚えとるか?」
「君は東京出身の関西弁大好き女子。」
「せやせや。うち、めっちゃ関西弁好っきゃねん。って、ちゃうわ!名前や名前。名前を聞いてんねん。それと出身は言わんでもええ。」
「えっと確か方角の名前で·····南さんね。」
「せやねん。うち、苗字北野なのに名前が南やから方角結局どっちなんやろ?ってちゃうわ。誰が南やねん。」
「有希子。それは失礼だぞ。確か理科の元素記号の覚え方の名前だったよな。」
「せやせや。スイへーリーベー僕の船。七曲がりシップスクラークか。ってよー覚えとるな。うち全然覚えられへんかったわ。ってちゃうわ。あんたが一番失礼やんか。」
「冗談だ。ちゃんと思いだ·····覚えてるよ。
「なんか思い出したって言いかけとったけど、まぁええか。ってええわけないやろ。誰が七味や。七つの海って書いて
ため息混じりに言う。改めて説明しよう。彼女は北野七海。父と母が芸人を務めている。
「相変わらず関西弁を使うのね。」
「ウチはドヤされてもこのスタイルでいくねん。それにしても有希子は相変わらずべっぴんさんやな。昂大も、はよーせんと他の男に有希子取られてまうで。」
「ちょっ。」
「なんや?」
「誰がツンデレツインテールよ。私はツンデレではないし髪はロングよ。」
「誰もツンデレツインテールって言ってへんやん。せやけど、相変わらず仲ええな。一緒に風呂入るまでいっとんのか?」
「そんなわけないでしょ。」
顔を赤くしながら言う。それを見た七海はさらに追い討ちをかけるように耳元で、
「エッチしたん?どないやった?」
と囁いた。
「なっ。そんな事するわけないでしょ。一緒にお風呂入ってないのにいきなりエッチなことなんて出来ないわ。」
「冗談や冗談。せや、ええこと教えたるわ。産婦人科室覗いたらな富士山の模型が置いてあんねん。」
「何のために?」
「そないな事うちに聞かれてもそこまでは知らんわ。有希子も気になっとったやろ。」
「えぇ。てっきり産婦人科の先生の育成かと。」
「真面目な考えやな。せや、もう1つええこと教えたるわ。」
「なに?」
「この学校男性比率がめっちゃ少ないねん。」
「どういうこと?」
「1クラス100人のクラスがあるとするやろ。そのクラスで男が二人だけみたいなもんや。このクラスやと男は昂大しかおらへんねん。まさにハーレム学校やな。」
「何でそんなことを?別に彼に全員興味がある訳でもないし。」
「なにゆうてんねん。昂大は昔っから人気あったやろ。渤海の双璧ならぬ2強の双璧って言われとったやろ。」
「そうなの?」
「なんや知らんかったんか?校内でお2人さんが付き合っとるって噂になってたんやで。校内一の美女と校内一の男が幼なじみで同級生で恋人関係にあるって。その噂を聞いてな、倒れた奴もおるし、学校に行く気を無くす奴もおるし、ダイエット中なのにリバウンドする奴もおったしそれはそれは大変やったんで。」
「全く知らなかったわ。そんな噂が流れていたのね。けど学校とダイエットは個人の意思の問題では?」
「まぁ細かいことは気にすんな。まぁ、昂大はあの鈍感さやからな。しばらくの間は大丈夫やろ。」
「そうだといいのだけれど。」
「せやけど安心ばっかしてもアカンで。はよーせんとウチに取られてまうかもよ。」
小悪魔みたいに微笑むと七海は他の人の所へ行った。
「何話してたんだ?」
「産婦人科室に富士山の模型が置いてあるらしいの。」
「なぜに?」
「さぁ?」
「お前たち集合だぞー。」
先生が集合の合図をかけた。生徒たちは2列に並び体育館へと向かった。何らかの理由で保護者の参加お断りでの入学式が始まった。会場のアナウンスと共に校長の話が始まった。
「皆さんおはようございます。私は
中途半端な拍手で会場は包まれ校長先生は誇らしげに降りていった。
「校歌斉唱。歌うのは鰯水校長先生です。」
《お前が歌うんかい。》
伴奏が始まると同時に先生と司会は一斉に耳栓をした。
「我が⤴高校の⤵教訓は⤴沢山⤵学びい⤴ハー⤴レム⤴作る⤵ことだーあー⤴」
《なんやこの歌唱力。酷いにも程があるやろ。てかなんやあの歌詞。滅びの歌か何かか?アカン気ぃ失ってまう。》
校長先生が歌い終わると昂大と有希子以外全員失神していた。校長先生は誇らしげに降りていった。
「有希子。俺たちは滅びの呪文に打ち勝ったんだ!」
「えぇ。とても喜ばしい事だわ。」
2人は手を握りしめ喜びあった。こうして無事入学式を終えることができたのであった。
第4話「入学式」~完~
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