第2話「意識」
1年生教室へ行き、席に着いた。
「また隣なのね。」
「俺たち赤い糸で結ばれてんのかって思うな。」
「え?あ、そうね。そうみたいね。」
有希子は頬を染めた。
《何恥ずかしいことを言ってるのよ。》
《有希子のが顔赤いな。熱でもあるのかな?》
「大丈夫か?顔赤いぞ。」
「大丈夫よ。」
《私が彼を好きになったのはあの時からなのよね。》
有希子が昂大を気になりだしたきっかけは中学二年生の修学旅行の時だ。
(回想)
有希子と昂大は修学旅行の班も一緒になり企業見学でどこへ行くか意見していた。
「ねぇ、企業見学どこにする?やっぱり広島市?いろいろとイマジネーションできていろんなアイデアが聞けると思うんだ。」
意識高い系男子がジェスチャーを交えながら言う。
「うち、都庁がええ!」
目を輝かせながら関西弁大好き女子が言う。
「俺らが行くのは広島だぞ。都庁は東京だ。」
「なんや都庁って東京にあったん?知らんかったわ。なぁ有希子はどこがええと思う?」
「私はその·····。」
「なんや?行きたい所があるんなら、はっきりゆーた方がええで。」
「俺は庄原市がいいな。」
《え?昂大がなんで庄原市に?》
「庄原市?あぁ面積がえらいでかい所やな。なんかそこに行きたい企業でもあるん?」
「まぁな。」
《そうよね。しかし、びっくりしたわ。昂大もまさか私と行きたい所と被るなんて。》
「なんか意外やな。」
「そうか?」
「自分みたいな賢いやつは都会のIT関連の仕事に就きそうやからな。」
「偏見も程々にしといた方がいいよ。賢いやつ全員がITに就くとは限らないんだからな。もっとイマジネーションを深く持とう。」
「すんませーん。で、有希子は決まったんか?」
「私も庄原市に行きたいと思ってたの。」
「ほぇー。」
「何か問題でもある?」
「あ、すまんすまん。なんか二人見とったら幼なじみゆーよりカップルみたいやなって。」
「そんな訳ないでしょ。」
《私と昂大がカップル。何なのこの気持ち。相手の想像なのに何で嬉しいと感じるの?》
「なんや有希子。顔赤いで?もしかして熱でもあるんか?それとも昂大にお熱?」
「気のせいよ。」
「有希子。念のため保健室に行くぞ。」
「えぇ。ありがとう。」
《何で昂大をこんなに意識してしまうの?私にとって彼は幼なじみで友達という関係なのに。》
「おー、朝からお熱いことで。羨ましいなー。イチャつくんも程々にな。」
「だから違うって。」
二人は保健室へと向かった。(回想終わり。)
これが意識し始めたきっかけである。
第2話「意識」~完~
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