恋しちゃっていいですか?一年生編

コウキング

第1話「騙されちゃった。」

「恋」それは異性が異性に持つ感情。「愛」とは似ているようで似てない感情。「恋」と「愛」の根本的な違いは何だろう?

「なぁ有希子。俺たちは東の大学付属高校に入ったんだよな?」

彼の名は藤堂昂大とうどう こうだい。成績優秀で運動神経抜群。容姿端麗で家事や料理もできる完璧超人。しかし、恋愛に疎く自分の感情にすら気づかない鈍感を超えた阿呆である。阿呆だから未だに交際経験ゼロ。なんて言うかとても残念な人だ。

「そのように聞いたのだけれど。」

彼女の名は雪村有希子ゆきむら ゆきこ。彼女も成績優秀で運動神経抜群。容姿端麗で家事と料理もできる完璧超人。しかし、相手が好意を持ってると分かっても自分からは言わない通称告られたい派である。しかし、周囲の男子は自分の想いを伝えることができず卒業していくものが多かった。よって、彼女も交際経験ゼロなのである。この二人は家が隣でよく遊んだり勉強したり、小中と同じ学校で全部同じクラスで過ごしてきた。いわゆる幼なじみというやつだ。

「騙されたみたいだな。」

「そのようね。でも入学金は支払ってるし我慢するしかないでしょ。」

《何だよこのハーレム学校って。アウトだろ。教育上良くないと思うな。》

《普通の高校より広いのだけれど。武士道館みたいな外装の建物があって、プールにサッカーコートにグラウンドとテニスコート。思った以上に広いわね。ちょっとしたオリンピック会場よ。》

「じゃ行くか?」

「何で疑問形なのよ。」

二人は笑いながら校舎へと入った。

「まずは自分たちの教室を見つけましょ。」

近くにあった案内掲示板を見た。

壱階、保健室・理科室・家庭科室。

弐階、一年生教室・二年生教室・職員室・放送室・生徒指導室・生徒相談室・図書室。

弎階、生徒会室・三年生教室・技術室・美術室・音楽室。

別館、ブシドー館・体育館・格技場・食堂・産婦人科室。

「ブシドー館?に産婦人科室?」

「外装的にアレだから。ブシドー館なんだろう。産婦人科室については分からん。」

「産婦人科の先生を増やすための教室かしら?」

「まぁ俺たちには今のところ関係はないか。」

「そうね。」

二人は一年生教室のある二階へと上がって行った。

第1話「騙されちゃった。」~完~

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