第202話、神の終焉。
「コウのバカァァァ!!諦めるなぁぁ!!!」
ミアの声が聞こえたと同時に俺の目の前に七色に光った剣が現れた。
「こ、これは?」
(マスター。これは未来への希望です。)
(ヴォイス姉は相変わらずロマンチストだな~。コウの兄貴に影響され過ぎじゃない?)
(そうね、ヴォイスはコウの中二病に影響されて自我が目覚めたんだから仕方ないじゃない。)
(それもそうだね~。要は愛だね、愛。)
(2人とも止めてください。恥ずかしいから!!)
ヴォイスとラウルとマリアージュは七色に光る剣の中でじゃれた会話をしていた。
「あ、あの~、状況が良く飲み込めないのだが?」
俺が呆気に取られて居るとヴォイスが恥ずかしそうに応える。
(い、いいから、とりあえず剣を握ってください。)
「は、はい。」
俺が言われるがまま剣を握ると今までに感じたことのない魔力の質と量が一気に俺の中に流れ込んできた。
それと同時に俺に襲い掛かってきていたゼウスの魔法、
「な、な、な、何だそれは?い、一体何なんだ?」
自分の魔法を消されたゼウスは怯えた声で聞いてくる。
いやいや、それは俺が聞きたいのだが...。
何?この剣?凄すぎるんですけど...。
(マスター、聞いてください。この剣は私とラウルとマリアージュさんが一つになり誕生した唯一無二の神剣...いや、神剣を超えた神剣。超神剣とでも言いましょうか。)
そう淡々とヴォイスが話す。
「超神剣...。それに一つになったって...?」
(ゼウスを倒す為に私達、それぞれの神のアーティファクトが一つになったのです。)
次はマリアージュがそして、
(へへへっ!コウの兄貴の役にたてて、最後に一緒に戦えるなんてオイラは嬉しいけどね~。)
「最後って...。」
ラウルの言葉に俺の胸が締め付けられる思いがした。
(もう...全くラウルは口が軽いんだから。マスター...。すいません。元々私達は別の神から生まれたアーティファクトなのはわかりますよね?)
「あぁ...。」
(構造も全てが違いすぎて今も反発しあっている状態なんです。時間はあまりありません。そして、時間が来た私達は力を使い果たし消えてしまうでしょう。)
「そ、そんな...。」
俺は悲痛な思いで顔を歪ませた。するとヴォイスは穏やかな声で、
(悲しまないで下さい。
今ゼウスを倒せるのはマスターしかいないんです。行きましょう、マスター。
全てを終らせるために。)
ヴォイスやラウル、マリアージュはそれぞれこの世界を守る為に自らを犠牲にしてまで覚悟を決めたんだ。
俺もそれに応えないと顔向けできない。
俺もこの世界が好きだ。
この世界を守りたい。
俺はヴォイス、ラウル、マリアージュの覚悟を受け取り、眼に力を宿して前を向く。
(マスター、今なら使えますね。)
「あぁ。」
(闘技場の前でミアが教えてたアレか...。
一度しか見てないのに出来るのか?しかも、あれはまだ未完成だった物だが...。)
マリアージュは不安そうに言う。闘技場でアスタリスクを手に入れた後、ミアに再会して教えてもらった神剣技の事だ。
ミアの莫大な魔力でも数十秒しか持たなかった技だ。
(コウの兄貴なら大丈夫!!だって、兄貴だからな!えっへん!)
兄貴だからって...根拠はないんかい!!とラウルにツッコミたかったが止めといた。
そんなに自信満々に言ってくれてるのに水を指したくなかったからだ。
「心配しなくても大丈夫。俺には
俺はミアが教えてくれた事を思い出す。
そして、超神剣の魔力...いや、神力といった方がいいだろう。俺は神力を体内に巡らせた。
そして、形を成形する。
「
俺の中に巡ってた神力が一気に体外に溢れでて七色に輝く羽衣となり俺を包んだ。
「な、な、七色の衣?ここ、これは神々でも知らない物。何なんだ一体?
お前は一体何なんだぁぁぁ!!!」
明らかにゼウスは動揺を隠しきれていなかった。
これは凄いな...。
まるで自分自身が神にでもなったかの様な高揚感と全能感。
ゼウスを見るとさっきまであれだけ強大に見えたのが、今はとても小さく見える。
(マスター、時間がありません。早く。)
(兄貴~!浸ってる場合じゃないよ~!結構きついんだって!!)
(コウ!早く!!ミアと一緒に幸せになるんでしょ!?)
そうだ。そうだった。あまりにも全能感で自分を忘れそうになっていた。
「すまない。今、止めを...。」
俺は超神剣を天にかざした。
「ゼウス...。これで最後だ...。
その瞬間、全ての音や光が消え失せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます