第200話、ぶっ壊れようとも...。


パキィィン!!


神剣マリアージュが折れた。


「うそ...。」

ミアは折れたマリアージュを見てその現実を受け止められなくなりその場に力なく崩れた。

折れたマリアージュの先端を手に持ちながら。



「これで終わりだな。」


その場で崩れ落ちたミアにゼウスが剣を振るう。俺は瞬歩でミアに向かおうとするが間に合わない。


このままではミアが死ぬ...。

俺は必死にミアに向かいてを伸ばすが届かない。

頼む、誰か...ミアを救ってくれ...。

無情にもゼウスの剣は振られた。


ザシュ。


斬られた音が響く。

しかし、斬られたのはミアじゃなくて俺の中に居たはずのヴォイスだった。

ヴォイスは身を体にしてミアを庇い背中をザックリと斬られた。

斬られたヴォイスの傷口からは魔力が垂れ流された。


「またしてもお前か...ヴォイス。あくまでも歯向かいおって。この裏切り者が。」


「ハァハァ...。この人はマスターの大切な御方。貴方なんかに殺らせません。」


「フン。下らぬ。死ぬのが早いか遅いかの違いだ。」


プチン。

俺の中で何かがキレた。


「ラウル...。今すぐ人化してミアとヴォイスを守ってくれ...。出来るだろ?」


俺がそう呼び掛けると右の腕輪から人化したラウルが応える。


「兄貴。任せてくれ!俺っちの結界で皆守るから。」


「任せた...。


ゼウスゥゥ!!!俺を見ろ!お前の相手はこの俺だぁぁ!!」


ヴォイスとミアの方を向いていたゼウスが俺に振り向いた。

その隙にラウルはヴォイスとミアを抱き上げ隅により結界を何重に張った。


「フン。今さらお前に何が出来る?コウ・タカサキ。お前の力じゃ我に届かぬ。」


「やってみねーと分からねーだろ...。糞野郎。

アスタ、リスク。

全力でいく...お前らの命、俺に預けてくれ。」


(元々そのつもりだよ!!こいつだけは許せない!)

(そうなの!パパが死んだのもこいつが現れたせいなの!)


アスタもリスクもとっくに覚悟は決まってた。

ならやることは一つ。

全力でゼウスコイツを倒すだけだ。


俺の『ミヨミマネ』のユニークスキルはミヨウミマネしたスキルを進化をするさせられる。


今ここで全てを進化をさせる。

身体がぶっ壊れようとも...。


身体能力爆上げフィジカルバースト×100。」


熟練度が一気に上がった。進化できる。


限定解除リミットバースト。」


俺の身体から物凄いオーラが溢れだした。

その様子ににやけてたゼウスの顔つきが変わった。


同調シンクロ100%。」


俺とアスタとリスクの心を全て一つにさせた事で同調シンクロも進化をした。


一体化ユニフィクション。」


溢れだしていたオーラが白銀に変わり俺を包みこんだ。


「待たせたな...。ここからは俺のターンだ。」


「面白い...。かかって来い。」


「桜吹雪・刹那。」


「それはさっき反した技だろ。芸がないな。桜吹雪・刹那。」


「それはどうかな?」


ゼウスも俺と同じ構えを取り技を繰り出して来た。しかし、押されるのはゼウスだった。


「先程とは全て違う...。フハハハハ!!面白い、面白いぞ!!コウ・タカサキ!!戦いとはこうでなきゃ行けない!」


「その高笑い、いつまで持つかな。」


「何?」


俺の桜吹雪の熟練度が上がりまたしても進化をする。


「桜吹雪・万華鏡。」


数千の剣撃から数万の剣撃に変わる。そして上下左右死角全ての剣撃がゼウスに放たれ直撃した。

その瞬間、城だった建物は吹き飛び土煙が上がった。


ズキッっと身体の節々が悲鳴を上げる。

これで決まってくれれば良いのだが...。

土煙が静まるとそこにはゼウスが立っていた。

苛立ってる様子が伺える。


「今のは少し痛かった...。

...痛かったな。痛かったぞぉぉ!!

下等な人間の分際で!!神であるこの俺に傷を負わせるなどあってはならんのだぁぁ!!」


わぁお~。少しの切り傷だけって...。

一応、俺の必殺技だったんだけどな...。

ハハハ。これは本格的にヤバイか...。


ゼウスの絶望的な強さに笑いしか出てこなかった。


「あ?何を笑っている?人間。」


「いや、お前がめちゃめちゃ強くて笑いしか出てこなかっただけだ。気にするな。」


「すぐに笑っていられなくしてやる。」


ゼウスは指先を俺に向けた。


死の光線デッドリードライブ。」


ゼウスが唱えた瞬間、指先から真っ黒なビームのような複数の光線が俺に襲い掛かってきた。


「神速雷光。」


俺の瞬歩とミアの雷光移動を合体させて進化させたスキルで真っ黒な光線を紙一重で躱わす。

しかし、その真っ黒な光線は俺を何処までも追ってきた。


「追尾してくるのかよ...。厄介な。」


「フハハハハ!!踊れ、踊れよ人間!!

止まったときがお前の最後だ!」


俺は逆転の目を探しながら無数の真っ黒な光線を躱わし続ける事しか出来なかった。


その一方で、ラウルの結界の中で戦いを見ていたヴォイスが覚悟を決めていた。

その覚悟とは....。

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