第188話、魔剣ダーインスレイヴ。
「今日は良く集まって下さいました。こんなに大勢の方が僕たちの為に集まって下さいました事を誠に嬉しく思います。」
ソーマは丁寧に話す。しかし、集まっているそれぞれの国の要人達からは拍手すらなく逆に悪意に満ちているように感じる。その理由もすぐにわかった。
「本日はお日柄も良く、私達二人にとって良い日に...」
ソーマが喋っているとステージに続々と上がっていく者達がいた。鑑定で見ると誰もがレベル100を越える強者達だ。
「はぁ~。君達を
溜め息混じりで呆れた顔でソーマが言う。
「うるさい!!お前が拐った私達の国の姫様を返せ!!」
「うちの国もだ!!姫様に何かあったらお前を許さん!!」
ステージに上がった各々の者が同じような事を口にする。
「なんだそんな事か~。僕も返したいんだけどね、もう無理だわ。だってもう死んでるし。」
「「なっ!!??」」
ソーマの言葉に皆驚く。
「死んだって言うのはちょっと違うか~、僕の愛する彼女の一部になってもらったよ。だから彼女の中で生きてるんじゃないかな?あっ、でも意識とか肉体の原型もないから死んでると一緒か!あはは。ごめん、ごめん。」
と悪びれる様子もなくソーマは笑う。
「ひ、姫様を返せぇぇ!!」
一人の男が剣を振りかざしソーマに向かって行く。それが引き金となりステージに上がっていた他の男達も武器を構えソーマに突撃していった。
「やっぱりこうなるのか...。散々人殺しをしてきた悪人のクセにそういう心は持ってるんだね。面倒くさ。カゲロウ、ごめんね。折角の純白のドレスが赤く血に染まるかも。それでも君は美しいけどね...。」
そんな事を言いながらソーマはカゲロウの頬にキスをした。
「姫様の敵!!死ねぇぇぇ!!!」
レベル100を越えた男がソーマ目掛けて剣を振りおろす。
「全く、隙だらけだよ。よっと。」
ソーマは真っ黒な剣を横に振る。
タイミングもあってないし男の体にも当てる気がないように見えた。
「バカが!どこを狙っている?この素人が!!」
男がそういった瞬間、男の上半身と下半身が離れその場に崩れ落ちた。
「斬られた事も気付かなかった?気付く分けないよね~!だって君達弱いもん。」
「俺の身体が...。何で...?ひ、姫さ...。」
そのまま男は命を落とした。その光景を見た他の男達は、何が起きたかわからない恐怖に自然と後退りする。
「あ~あ、やっぱり君にも血が飛んじゃった。ごめんね。今すぐアイツらを殺すから。君にプレゼントするために作ったこの剣を使わせておくれ。この魔剣ダーインスレイヴを。」
ソーマが手に持つその剣は黒く鈍く光っていた。アスタ、リスク、クラレントとは全くの別物。いや、正反対と言っていいのかもしれない。とにかくあの剣はヤバイ。このままでは闘技場に居る全員が殺られてしまう。そう思った俺はVIPルームの窓を蹴破ろうとした。
が、出来なかった。強力な結界が施されていたのだ。
俺が結界を壊そうとしているのに気付いたソーマは、
「コウくん~。その結界はちょっとやそっとじゃ壊れないよ。僕が何日も掛けて君の、君達の為に作った強力な結界だから。まあ、事が終わるまでそこで見てなよ。面白い事に...」
と、ソーマがマイクで言っている最中に他の男達がソーマを襲う。
「隙あり!!」「挟めば逃げれない!」
2人の男達がソーマを間に挟んで剣を振るう。
「だから、僕には隙なんてないって...。」
ソーマは剣を持ってくるっと1度回った。するとまたしても男達の胴体が真っ二つになった。
「ステージに上がってるやつは後20人か。君達は僕の大切なスピーチの邪魔をしたんだからお仕置きだよ~。...目覚めろ、ダーインスレイヴ。」
ソーマの持っている剣の先が徐々に形を変え始めた。そして、変形が完成した。剣先がドラゴンの頭のようになっていてまるで生きてる様だった。
「ステージ上のアイツらを喰え。」
そういうとダーインスレイヴはソーマの指示に従い次々と男達を食べ始めた。20人居た男達は物の数十秒で死体も残さず綺麗に跡形も無くなったのだった。
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