第184話、君が居てくれて良かった。
ソーマが去って俺は魂が抜けたように佇んでいた。俺の他のパーティーは徐々に動きだし、傷ついた仲間達の回復を始めた。
皆が戦っている中、俺は何もできなかった。
動けなかった。俺と皆は何が違うんだ?
皆は何故戦える?仲間じゃなかったのか?
家族じゃなかったのか?アスタやリスク、クラレントまで...。分からない。
それにソーマは何故あんなことを?
考えすぎて頭がおかしくなりそうだ。
そんな姿を見ているパーティーメンバー達やアスタ、リスク、ラウルもそっと見守っていた。そんな中、俺にプロペトが1人近づいてきた。
「コウ殿、どうしたんじゃ...?そんな思い詰めた顔をして...。」
「お祖父様...。俺、そんな酷い顔してましたか...?」
「そうじゃな...。この世の終わりみたいな顔をしておったぞ。」
「ははは...。それは酷いですね。」
「思い詰めてることがあったらこの爺に言うてみ。ワシはコウ殿と逢って間もないから、他の者達に気にせず色々と聞いてあげられるぞい。話すことで楽になることもあるんじゃ。」
「そうですか...。実は...」
俺は色々と頭の中ぐちゃぐちゃしたものを
「なんじゃそういう事か...。コウ殿は少し自分の考えに捕らわれ過ぎじゃ。よく話を聞いて意味考えた方がいいじゃろ。」
「そ、それはどういう...?」
「ソーマといったかの?彼はなんと言っていた?」
「この世界を滅ぼすと...。」
「本当にそうかの?もし本当にそうなら、皆が弱っている今攻撃するんじゃないのかの?」
「それは...。確かに...。」
「しかも、ここではない場所を指定してきてフル装備で来い。なんておかしいとは思わないか?そして、彼は自分が悪になって倒されることで皆を救えるって事が分かっておるのじゃないのかの?それができるのはコウ殿しか居ないと...。」
「そ、そんな...。」
「まあ、ワシの憶測でしかないがの...。おっと、ワシはここらでおいとましようかの。」
そう言うとプロペトは俺の元から去り復興の手伝いを始めた。プロペトと変わって俺の前に現れたのは、ミアだった。
「コウ...。大丈夫?酷い顔してるけど...。」
「あぁ...。なんとかな。」
俺の言葉にミアはスイッチが入ったのか口調が変わる。
「はぁ~。なんとかって顔じゃないでしょ!?シャキッとしなさい!それでも私の婚約者なの!?情けない!!」
「お、おい...。急にどうしたんだよ?」
「どうしたもこうしたもないでしょ!?せっかく
「無理言うなよ...。俺だって...。」
「言うわよ!!無理言うわよ!!私はコウには笑っていてほしいの!どんな時も!ほら、笑って!笑え~!」
そう言いながらミアは俺の顔を指でいじり無理やり笑顔の顔を作る。
「プッ。ブサイク...。」
「誰がブサイクじゃ!俺ほど良い男は中々居ないわ!」
「プププッ。どの口が言ってるのよ。今まで全然モテなかったくせに...。」
「な!?そそそ、そんな事はないやい!俺だっていっぱい声援貰ったりしたし!!」
「それも男ばっかりね!!」
「何でそれを...。そうかヴォイスが...。」
「残念!ヴォイスはそんな事はいちいち報告しないわ!まあ、ヴォイスから報告聞かなくても分かるんだけどね。」
「何で分かるんだよ!?」
「ナ・イ・ショ。」
「またそれかよ!はぁ~、いつもそれだな。こっちに来る前もいつもナイショごとばっかりだったじゃないか。」
「はぁ~!?それは私がコウにサプライズを用意してるのにしつこく聞いてくるからでしょ!?本当にデリカシーの欠片もないんだから!そのせいでいじけて泥酔して死んだのはどこのどなたでしたっけ!?」
「す、すいません。俺です。ぐうの音も出ません。」
「よろしい。...ふふふ。」
「ん?」
「やっといつものコウに戻ったね。良かった。本当にすごい顔してたんだよ~。」
「そうか...。心配かけてごめん。」
「そう思うなら皆に元気な顔見せなきゃね!
「あぁ。そうだな。ミア、ありがとう。君が居てくれて良かった。」
「急に何よ~?急に言われたら恥ずかしいじゃん。ほら、行くよ!」
「あぁ!」
俺はミアに手を引っ張られて皆の元へ向かった。皆に心配かけた事を謝罪し、カインに挨拶をした。カインにはお兄様なんて言われて少し照れた。壊れたお城を直そうと俺が動こうとしたら、プロペトが再生魔法でお城を元通りにしてしまったのには驚いた。まあ、しっかりと俺にも『ミヨウミマネ』で再生魔法を覚えてしまったので次からは俺が直そうと思う。
そこから今日の戦いの労いで外で戦ったグスタフ及び兵士達、皆とバーベキューをした。
そして、夜がふけて俺達パーティーは集まりソーマの事について円卓会議を始めたのだった。
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